
志望動機からはその求職者が志望した理由はもちろん、
仕事に対する意欲や自社への想い、
これまでの経験など、
さまざまな情報が読み取れるため、面接や履歴書では特に重要視されます。
この記事では製造業の選考を受ける方のために、志望動機の書き方を例文付きでご紹介します。
そもそも製造業ってどんな業種?
製造業とはその名のとおり、物を造る業種のことを指し、メーカーとも呼ばれています。
製品は自動車、鉄道車両、航空機などの乗り物、家電製品やコンピュータ、携帯電話やスマートフォンなどの電子機器、薬品や薬剤などの化学製品、金属や紙、プラスチックなどの素材、工作機械やロボットなどの産業機器、あるいは食品や飲料、衣類など、非常に多種多様です。
日本はいわずとしれたものづくり大国。
製造業は国を支えている基幹産業といっても過言ではありません。
製造業にはどんな職種がある?
製造業ではさまざまな職種の人が働いています。
工場で機械を操作したり手作業で加工したりして製品を造る製造、工場で造られる製品が品質基準を満たしているかどうかを管理し、品質に満たない製品や不良品ができたときに改善を行う品質管理、市場調査などを行って新しい製品を企画し、設計や技術開発を行う製品技術(設計・開発)、出来上がった製品をユーザーや商社、販売店などに売り込んだりユーザーをフォローしたりする営業など、非常に多種多様です。
また、他にも一般的な企業と同じように経理や総務、人事などのバックオフィス的な職種もあります。
製造業の職種や仕事内容、やりがいについては、こちらの記事
『製造系職種の種類・仕事内容・やりがい・メリットをまとめて解説!』
『食品製造の仕事内容は?年収アップのコツや向いている人などを解説』
でさらに詳しくご紹介しています。
製造業で求められる適性とは?
製造業では品質や納期、あるいは工場内での安全を担保するために、決められた手順で作業を行わなければなりません。
品質管理や製品技術、営業に関してもトライアンドエラーを繰り返して成果につながりますので、真面目に物事に取り組む姿勢が求められます。
また、特に工場内の作業は一人で黙々と作業をするというイメージがあるかもしれませんが、他の従業員と共同で行う作業も少なくありません。
加えて工場はいくつものラインに分かれており、前工程や後工程での連携も必須となるため、コミュニケーション能力も求められます。
製造や品質管理は品質向上や作業の効率改善を実現するために、製品技術では新製品を開発するために、営業は新しい顧客を開拓するために、チャレンジ精神も必要となります。
以上のように、製造業ではさまざまな適性が求められますが、何よりも必要となるのはものづくりへの興味関心です。
作業が面倒くさい、ものをつくるのが苦手という方は、そもそも製造業に就業しても苦痛を感じてしまうかもしれません。
好きこそものの上手なれという言葉があります。
職人たちのものづくりに対する並々ならぬ情熱があったからこそ今のものづくり大国日本があるのです。
【職種別】製造業の志望動機の例文

ここからは製造業の志望動機の例文を職種別に、
経験者と未経験者という2つのパターンに分けてご紹介します。
製造
未経験者の場合は製造業や応募先に興味を持ったきっかけと、
これまで別業種で培った経験をどのように活かせるのかをアピールしましょう。
(例文)
私は現在飲食店に勤務しております。
キッチンを任されて料理をつくるうちに、ものづくりへの興味関心が深まり転職を決意しました。
特に貴社は教育制度が充実しており、未経験者からでも意欲があれば職人になれる環境が整っているということで志望いたしました。
現職では盛り付けや色調など細部にまでこだわって料理を提供しています。こうしたこだわりを貴社でも活かし、貢献してまいりたいと考えております。
経験者はご自身の経験やスキルが大きな武器です。
特に技能検定や資格を保有している場合は必ず記載しましょう。
(例文)
私は金属加工に8年間従事してまいりました。
さらに幅広い製品の加工に携わり自分の技術を磨きたいと考え、転職を決意しました。
貴社では多品種少量生産方式を取り入れており、ハイレベルな加工技術が求められていることから志望いたしました。2級機械加工技能士、2級機械仕上げ技能士などの資格を保有しておりますので、これまでの経験とスキルを活かして貴社に貢献したいです。
品質管理
未経験者の方はこれまでの仕事の中で業務効率や
職場の環境改善に取り組んだ事例などを挙げると説得力が増します。
(例文)
私は現在事務職として会計事務所に勤務しております。
製造業の顧問先も多く、話を聞いているうちに形あるものをつくる仕事に興味を持ち転職を決意しました。特に現場の声を大切にして業務を改善するという経営方針に共感し、貴社を志望いたしました。
現職ではシステムの導入の提案や記帳作業のフローの改善などを行い、残業時間を25%削減したという実績もございます。問題点を分析する視点を活かして、貴社製品の品質向上に貢献していきたいと考えております。
経験者の方は製造業において品質がどのように改善したのか、
あるいは業務効率をどれだけ改善できたのかという実績を盛り込みましょう。
(例文)
私は現在金属加工会社において品質管理を担当しています。
仕事にはやりがいを感じておりますが、よりお客様の顔が見えてダイレクトにフィードバックが得られる環境で仕事をしたいと考えており、業界シェアNo,1で顧客からの評価が高い貴社に志望いたしました。
現職では組立工程において不良が発生する傾向が高かったため、工程やマニュアルの見直し、治具の改善等を行ったところ、不良率が1.7%から1.4%にまで改善することができました。
貴社においてもPDCAサイクルを回しながら、さらなる品質の向上に貢献したいと考えております。
商品企画(設計・開発)
商品企画は会社の将来を左右する重要な部署であり、
ある程度専門的な知識やスキルが求められるため、
現職や前職の経験が活かせて応募先にメリットが与えられることをアピールする必要があります。
(例文)
私はお客様の声から新商品を創り出すという商品企画の仕事に魅力を感じ、転職を決意しました。
特に貴社では顧客のニーズに応えたヒット商品を次々に開発されており、私もその一員となりたいと考え志望いたしました。
現職では営業に従事しております。商品企画は未経験ではありますが、お客様の声を真摯に聞くという点では誰にも負けない自信がございます。
実際に、お客様からのフィードバックを商品企画部に伝え、それが新商品に反映された実績もございます。
貴社においても顧客の声にしっかりと耳を傾けニーズを深堀りすることで、ヒット商品の企画に携わりたいと考えております。
商品企画の経験がある方は、どのような商品を企画して、
どのような成果を会社にもたらしたのかをアピールしましょう。
(例文)
私は現在●●社の商品企画に携わっております。
より多くの商品を世に出したいという想いがあり、今後新商品開発に力を入れていくという方針を掲げられている貴社であれば、私の経験が活かせると考え志望いたしました。
現職では○○(商品名)の企画に携わりました。従来製品に不満を持つ顧客の声を徹底的に反映させ、何度も試作を繰り返した結果、○○は市場でも高いシェアを誇り、従来製品と比較して○○%売上が向上しました。
貴社においても魅力的な新商品を数多く世に出し、シェアと売上拡大に貢献してまいりたいです。
営業
特に人とコミュニケーションをとって何かを成し遂げた経験、
お客様と接した経験があれば、積極的にアピールしましょう。
(例文)
私は現在飲食店に勤務しております。もともとものづくりに興味があったことと、接客の経験を活かしたいと考え、製造業の営業職への転職を決意しました。
特に海外にも積極的に展開されている点に魅力を感じ、貴社を志望いたしました。
飲食店ではホールを担当しており、お客様とのコミュニケーションにも慣れております。常に笑顔で、丁寧な接客を心がけることで、顧客満足度が○%向上し、常連のお客様から名前で声をかけていただく機会も増えました。
接客経験を活かし、貴社においても顧客との強固な関係を構築し、利益向上に貢献していきたいと考えております。
製造業での営業経験がある方は、
どれくらいの売上が上がったのか、どのような販路を開拓したかといった実績をアピールしましょう。
(例文)
私は金属加工会社で営業に従事しておりました。いわゆるルート営業がメインですが、もっと新規開拓営業も経験してみたいと思い、転職を決意しました。
貴社は新しい領域の製品製造にも着手されており、販路拡大を図られているということをお聞きし、私が理想とする営業活動ができると考え、志望いたしました。
ルート営業では既存顧客のフォローがメインでしたが、私はお客様の課題を徹底的にヒアリングし、それを解決できる製品を提案してまいりました。その結果、前任者よりも○%売上を向上させることができました。
丁寧なヒアリング力と、課題解決能力、提案力を活かし、貴社の利益拡大に貢献したいと考えております。
製造業の志望動機を作成する際の注意点とは?NGな志望動機の特徴

以上で製造業の志望動機の例文をご紹介しました。
ここからは採用担当者に熱意が伝わりにくい、NG志望動機の特徴について見ていきましょう。
具体性がない
たとえばただ「ものづくりに興味があるから」といわれても、何も心に響きません。
具体性がない志望動機は他の応募者と比べると見劣りをしてしまい、相対的に評価が下がることになってしまいます。
また、採用担当者によっては「やる気がない」と判断されかねません。
「なぜものづくりに興味があるのか」
「ものづくりのどこに興味を持ったのか」
を、具体的なエピソードも交えてアピールしましょう。
内容が偏っている
志望動機はおおむね
「その業界や仕事に興味を持った理由」
「応募先を志望した理由」
「応募先に貢献できる点」
の3つのパートに分けられます。
たとえば業界や仕事に興味を持った理由ばかりを長々とアピールすると、「自分の言いたいことしか言っていない」という印象を与えてしまいます。
逆に応募先企業を褒めてばかりで自分のことを話さないと、「なぜその業界や仕事に興味を持ったのか」という肝心の部分がわかりません。
志望動機を作成する際には、上記の3つの要素をバランス良く盛り込みましょう。
他の項目と相違がある
採用担当者は履歴書の他の項目との整合性もしっかりとチェックしています。
たとえば、長所の部分で「コミュニケーション能力に長けている」と記載しているにもかかわらず、志望動機で「一人で集中して黙々と仕事がしたい」と記載すれば、チグハグな印象を与えてしまいます。
志望動機と他の項目との間に齟齬が生じないよう意識しましょう。
また、特に他業種から転職する場合は、どうしてもキャリアに一貫性がないとみなされがちです。
たとえば、これまで接客業をしていたのに製造業に応募した場合、
「なぜいきなり製造業に?」
「今までの経験を活かさないのか?」
と思われてしまいかねません。
他業種に転職することは決して悪いことではありません。
ただ、転職する理由を明確にし、採用担当者が納得できるような回答を準備しましょう。
まとめ
志望動機は面接や履歴書の中でも特に重要な項目となります。
志望動機を見れば、その人の仕事に対する意欲や自社への想い、これまでの経験やバックボーンなど、さまざまな情報がわかります。
これから製造業への転職を希望されている方は、ぜひ今回の記事を参考に採用担当者の心に響く志望動機を考えてみましょう。
また、履歴書には他にもさまざまな項目があります。
いずれも採否を左右するので、決して手を抜くことはできません。
製造業に転職する際の履歴書の書き方については、
『【履歴書の書き方ガイド】製造業編|これを押さえればバッチリ!』
でも詳しくご紹介していますので、ぜひ参考にして履歴書を完成させてみましょう。