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今さら聞けない残業時間の定義。気になるポイントをまとめて解説!

社会人であっても、残業時間の上限や残業代の支給条件・計算方法などは意外と把握していないという方も多いです。会社が適切に対応できているのかが判断できなければ、自分の働き方が適正なのかがわかりません。

また、人事採用担当者であれば、正しい情報を把握していないと会社に不利益を与える可能性もあります。そうならないためにも、この記事では残業に関する基本ルールを解説します。皆が健康的に正しく働ける環境を整えるためにも、ぜひ知っておきましょう。

(本記事は、2022年4月現在の情報を基に作成しています)

法定・所定労働時間の違いと残業の関係

残業について正しく知るためには、まず「法定労働時間」と「所定労働時間」の違いを把握しておくことが重要です。法定労働時間はその名の通り、法律で決められた労働時間のこと。労働基準法第32条で定められている1日8時間、週40時間の上限が法定労働時間です。

対して所定労働時間は、その企業で定められている労働時間のことを指します。この所定労働時間を超え、法定労働時間(1日8時間、週40時間の上限)を超えない残業のことを「法定内残業/労働」、法定労働時間を超える残業のことを「法定外残業/労働」といいます。

仮に所定労働時間が法定労働時間よりも短く、労使協定・就業規則で支払いについて別途定めていない場合、法定労働時間までの労働分については、割増賃金ではなく、通常の労働時間の賃金を支払うことになっています。

法定内の残業についても、法定外労働と同様に割増賃金が支払われるものと勘違いしないよう、注意しましょう。

残業(法定外労働)には36協定が必須!

法定労働時間は、1日8時間、週40時間の上限を超えて労働させてはならないという決まりです。つまり、そもそも法定外残業をさせてはいけません。法定外労働をさせるには、労働基準法第36条に定められた労使協定(通称36協定)を締結したのち、決められた労働基準監督署長に届け出るというステップを踏む必要があります。

労使協定とは、使用者(雇っている側:企業)が労働組合(労働者の過半数で組織されたもの)もしくは労働者の過半数を代表する者と書面によって協定を結ぶというもので、使用者と労働者であれば誰でもいいというわけではありません。

必ず書面で協定を結び、労働基準監督署長に届け出て有効となったもののみが有効で、「労使協定は締結したが、届け出ていない」「労使協定を結んだが定められた手順に従っていない」などの場合も労働基準法違反となります。

違反した場合は、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。また、36協定を結んだとしても、残業時間の上限があることは忘れないようにしましょう。

残業時間の上限について

これまでは残業時間の上限について、法律で定められていませんでした。しかし、残業時間の条件規制が2019年・2020年と段階的に施行され、働き方改革が大企業・中小企業両方で進められています。

残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできません。
施行 大企業:2019年4月〜/中小企業:2020年4月〜  

臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、以下を超えることはできません。
●年720時間以内
●複数月平均80時間以内(休日労働を含む)

・「2か月平均」「3か月平均」「4か月平均」
・「5か月平均」「6か月平均」
●月100時間未満(休日労働を含む)

  ※上記に違反した場合には、罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科されるおそれがあります。

引用:厚生労働省ホームページ 「時間外労働の上限規制」

https://www.mhlw.go.jp/hatarakikata/overtime.html

36協定と同様に臨時的な理由があって上限の原則を超えた労使協定を結んだとしても、この上限は絶対に超えられないという明確なラインがつくられたことが、今までとの大きな違いです。

見落としがちな残業と残業代の計算方法

次に、見落としがちな残業と残業代の計算方法についてご紹介します。

見落としがちな残業としては、意識せずに慣習として行っていることも多いものが挙げられます。たとえば、「始業時間よりも少し早めに来て掃除をする」「全員参加の研修や勉強会を法定労働時間の後に行う」などが当てはまります。

指示する側は意識していなかったとしても、これらのケースは残業に当たります。人事労務担当の方は、各部署でこのようなオペレーションが行われていないか、確認しておくとよいいでしょう。

残業代の計算方法

意外に知られていないことですが、残業代は原則1分単位で計算しなければならないと決められています。30分単位での端数切捨などが認められるのは、1ヵ月毎の賃金支払計算の場合のみで、日当の場合は適用されないため、注意しましょう。

通常の残業代計算

通常は、法定労働時間を超えた分の時間数分の時給を「25%割増」で支払うことになります。正社員であっても給与を時給換算して、その金額に時間数と割増分をかけて計算します。所定労働時間と法定労働時間の差を把握しておき、正しく計算できるようにしておきましょう。

休日出勤をした場合

休日出勤の割増賃金を計算する場合、まず休日も残業と同様に「法定休日」と「法定外休日」があることを知る必要があります。また、法定労働時間内の場合は、割増は適用されないので注意しましょう。

法定労働時間を超過して法定休日に休日出勤した場合は、「35%割増」の賃金が支払われます。法定労働時間以上働いていて、法定外休日に休日出勤をした場合は「割増が25%」となります。法定休日か法定外休日かによって割増度合いが変わるので、よく把握しておきましょう。

深夜残業の場合

法定労働時間を超えて残業していた場合は「25%の割増」、さらにその状態で深夜残業をしていた場合は「25%+25%で5割増」の賃金となります。

また、法定労働時間を超過して法定休日に休日出勤し、さらに深夜残業をした場合は「35%+25%の55%割増」の計算となります。あまり頻繁に起こることではありませんが、割合を覚えておくと安心です。

残業も休日出勤も法定か法定外かによって計算が異なりますので、人事労務の方はもちろん、一社員として働く方もこの機会に正しく把握しておきましょう。

まとめ

社会人として毎日忙しく働いていると「自社が36協定を結んでいるのか」、「残業代がどう計算されているのかあまり知らない」という方も多いのではないでしょうか。

給与明細の総額部分もしくは残業代の総額部分を見ているだけという方もいらっしゃるはずです。社会人として自分の残業代が正しく計算されているか、人事労務の方であれば自社のオペレーションが大丈夫かという観点で見るようにしておくことをおすすめします。

企業・個人共に適正な労働環境を保全するためにも、ぜひ自社の残業・残業代・労働環境がどうなっているか、一度確認してみてください。特に人事担当者の方は、実際の現場で「タイムカードを早く押させてその後に勤務をさせている」「過少申告するように圧力をかけている」ことなどがないかを、チェックしておくようにしましょう。

また、これから転職を検討している方は、固定で入っている残業代が法定の上限を超えていないかなど、会社で推進していることと実態がずれていないかという観点でも見ることをおすすめします。

長く働ける企業に勤めるためにも、人事の方なら選んでもらえる企業となるためにも、残業に関する正しい知識を身につけておくことが大切です。