転職の際には、履歴書の他にも「職務経歴書」の提出が求められるケースが一般的です。特に初めて選考を受けられる方は、なにを・どのように書いていいか分からず、戸惑われるかもしれません。 今回は、職務経歴書とはなにかという基礎知識や職務経歴書の書き方まで、徹底的にご説明します。
職務経歴書ってなに?
そもそも職務経歴書とは、どのようなものなのでしょうか。まずは職務経歴書とはなにかという基本的なことからご説明します。
職務経歴書の役割
職務経歴書とは、これまで自分がどんな仕事をしてきてどんな知識や技術を学んできたかを採用担当者に伝えるための書類です。転職においては、即戦力となる人材が求められている傾向があり、その人の経験やスキルがシビアに見られます。そのため、履歴書と同等かそれ以上に重要な位置づけとなる書類となります。
職務経歴書がご自身をPRする一番の武器になることもあれば、職務経歴書の内容が不十分で不採用になってしまう場合も考えられますので、しっかりと考えて作成することが大切です。
職務経歴書の項目
職務経歴書に記載する項目として以下のようなものが挙げられます。
・タイトル・日付・氏名
当たり前ですが、まずいつ・誰が作成した職務経歴書なのかが採用者に明確に分からないといけません。最初に「職務経歴書」というタイトルを中央に記載し、日付(提出日)と氏名を右寄せで記載します。
・職務要約
冒頭にこれまでどのような仕事をしてきて、現在はどのような仕事に従事しているのかを3~4行くらいで簡潔にまとめます。
・職務経歴
最も重要な部分です。在職期間や職場の事業内容、配属部署、担当業務、実績を記載します。転職して経歴が複数ある場合は、職場ごとに記載します。表でまとめるなど見やすくなるよう書き方を工夫するとベターです。
・自己PR
職務経歴の項目で記載した仕事を通じてどのようなスキルや知見、考え方を身につけたか。自分の特技や強みを記載します。
・資格・免許
資格や免許は履歴書にも記載しますが、職務経歴書では応募先の企業の仕事に活かせそうな資格や免許をピックアップして記載すると効果的です。
・その他
他にも応募先によって記載すべき項目・記載したほうがいい項目を追加します。例えば、パソコンのスキルが求められているのであれば、どの程度スキルがあり、どのようなソフトが使えるのかを記載することでアピールになります。クリエイティブ系であれば制作実績を記載することで、やはり大きな武器になります。
以上のような項目をA4用紙1~2枚程度にまとめます。
職務経歴書の書き方
ここからは、職務経歴書の書き方やポイントについてご説明します。以下のようなことを意識すれば、採用担当者にご自身の魅力が伝わる職務経歴書が書けるようになるはずです。
これまでの仕事を振り返る
いきなり書き出すのではなく、まずはご自身のこれまでの仕事について振り返ってみましょう。会社名、在職期間、事業内容、会社規模、配属部署とその在籍期間、業務内容、実績、身につけたスキルや考え方などを箇条書き程度でもいいのでまとめます。
こうしてメモを作成することで、ご自身のスキルや知識、考え方の棚卸しができ、職務経歴書の内容はもちろん、履歴書の志望動機の内容や面接でのPRの方向性なども見えてきます。
まずはどんなことでも構いません。思いつくだけ挙げてみましょう。
経験した職務経歴の内容をまとめる
まとめたメモを骨子にして、「どこで」「どんなことをしてきたか」「どんな成果を挙げたか」「どんなスキルを身につけたか」を文章でまとめましょう。
書き方を少し工夫するだけでも印象は大きく変わります。例えば「営業で大きな成果を挙げました」と記載しても、採用担当者には今ひとつ伝わりません。「契約を●●件獲得し、部署内では●年のトップセールスになりました」というように、具体的な数字や実績を記載することで、説得力が増します。
また、ただ単に業務内容やスキルを羅列するのではなく、ストーリーをもたせましょう。
「配属当初はなかなか契約が取れませんでした。上司にロールプレイングをしてもらい自分の営業スタイルを見直したところ、一方的に提案していることに気づきました。そこで顧客が抱えている課題のヒアリングに注力したところ、ニーズに合わせた提案ができるようになり、●●年には契約●●件を達成しました」
「これまでの業務ではExcelにデータをすべて手入力していて残業が常態化していましたが、マクロを組んで効率改善を図ったところ、作業時間を●時間から●時間に短縮しました」
このようにある課題を見つけ、それに対してどのような対策を行い、どのような成果を挙げたのかを記載することで、採用担当者の心に刺さります。
応募先の企業に合わせて自己PRする
自己PRでは、ついつい「私はこんなことができます」「これもできます」と前のめりになりがちですが、それでは押し売りになってしまいます。応募先の企業のニーズに合わせて内容をカスタマイズしましょう。例えば、事務職と営業職の経験があって営業職の求人に応募する場合は、営業職の経験やスキルをアピールしたほうが効果的です。逆に事務職に応募する場合は事務職の経験・スキルをPRしましょう。
また、スキルや経験は応募先がメリットに感じられるよう伝えましょう。ただ単に「私は営業の経験があります」ではなく、例えば「私は製造業の顧客を多数担当させていただきました。貴社でもメーカーと取引があるとのことで、私の営業の経験が活かせると考えております」とアピールすれば、より好印象を与えられるでしょう。
職務経歴書のQ&A
ここからは、職務経歴書に関してみなさんがよく抱きがちな疑問点にQ&A形式で回答していきます。
Q:職務経歴書を出すときに気をつけたいマナーはありますか?
A:汚れたり折れたりしないようクリアファイルに入れ、さらに封筒に入れて持参しましょう。また、郵送する際には、添え状を同封することも忘れずに。職務経歴書は、履歴書など他の書類と一緒に送るケースが多いので、どんな書類が入っているのかをひと目で分かるようにすることが大切です。
Q:職務経歴書はパソコンで作成しても問題ありませんか?
A:特に問題ありません。むしろ、転職では複数社選考を受けるのが一般的なので、パソコンで作成したほうが効率的です。
Q:アルバイトなどの経歴も書いていいですか?
A:一般的には記載しませんが、応募先と近しい業種や職種で働いていた、アルバイトの経験が業務に活かせる場合など、PRできることがあれば記載しても問題ありません。
Q:職務経歴書にはフォーマットは決まっていますか?
A:特に決まっていません。テンプレートを使えばスムーズに作成できますので、ぜひ参考にしてみてください。「職務経歴書 フォーマット」などでネットで検索すれば、さまざまなものが見つかります。
Q:どのような資格・スキルを記載すればいいですか?
A:仕事に活かせる資格・スキルは積極的に記載しましょう。一見関係なさそうでも思わぬ部分で役に立つこともあります。迷ったら記載することをおすすめします。
Q:職務経歴書が完成したらチェックすべきことはありますか?
A: 完成したら以下のチェックリストを使って確認してみましょう。
□ 日付や氏名が記載されているか
□ 誤字・脱字がないか
□ 記載漏れがないか
□ 入社や異動、退職などの年月が正確か
□ 見出しやタイトルが分かりやすくなっているか
□ 見やすいレイアウトになっているか
□ 文章が分かりにくくなっていないか
まとめ
職務経歴書は、転職において最も重要な役割を果たすと言っても過言ではありません。この内容が採否に大きく関わるので、今までの経験やスキルを思う存分アピールすることが大切です。また、内容だけでなくマナーも意識することで、より印象がアップする可能性もあります。
転職する際には職務経歴書の書き方をマスターして、あなたの魅力を余すことなくアピールしましょう。今後も職務経歴書の書き方に関するコンテンツを発信していきますので、参考にしていただければ幸いです。
もちろん、転職時には履歴書も重要となります。履歴書の書き方についてはこちらの記事を参照してください。