
健康状態を良好に保つことは、日々の生活を充実させるうえで欠かせません。
栄養士は、栄養バランスの取れた食事の提案で人々の生活を支える仕事です。この記事では、栄養士の仕事内容や給料を解説しますので、栄養士の仕事に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
また、栄養士の資格には、「栄養士」と「管理栄養士」があります。栄養士と管理栄養士では、仕事の目的や資格の内容が異なるため、違いを確認しておきましょう。
栄養士の仕事内容
まずは、栄養士の仕事内容を詳しく見ていきましょう。
栄養指導
栄養士は、栄養という側面から人々の生活を支えるアドバイザーです。栄養バランスの取れた献立づくりや調理方法の助言を通じて栄養指導を行います。
栄養指導の対象となるのは、乳幼児から高齢者まで幅広く、必要な栄養も年齢や体調などによって異なります。そのため、状況に合わせた指導が求められます。
献立づくり
栄養学に基づいた献立づくりも、栄養士の大切な仕事です。調理方法によっても栄養バランスが変わってくるため、調理師と協力しながら食事を提供します。
献立づくりが必要な施設として代表的なのは、病院や学校、介護施設、保育園や幼稚園などです。衛生管理やアレルギー対応なども、状況に応じて行います。
調理
栄養士の主な仕事は献立の作成や調理方法の指導ですが、調理師と一緒に調理業務に携わることもあります。大量の食事をつくらなければならない大規模施設では、決まった時間に食事の提供を間に合わせるために、午前中や夕方などの時間帯は忙しくなるでしょう。
食材の発注・管理
学校や病院などで提供される献立は、週単位や月単位で作成されるのが一般的です。
必要となる食材の個数や量を計算し、食品会社に発注するのも栄養士の仕事の一部になります。食品ロスをなるべく減らし、無駄のない献立を作成するスキルが求められます。
栄養士と管理栄養士の違い
「栄養士」と「管理栄養士」は、どちらも栄養士として働くための資格ですが、大きな違いが2つあります。
必要な資格の違い
「栄養士」は、都道府県知事から免許を受ける国家資格です。一方の「管理栄養士」は、厚生労働大臣から免許を受ける国家資格という違いがあります。
栄養士は、厚生労働大臣が指定した栄養士の養成施設で2年以上、必要な知識や技能を修得したのち、養成施設の卒業と同時に都道府県知事から免許を受けます。
管理栄養士は、「管理栄養士国家試験」に合格することで、厚生労働大臣から免許を与えられます。国家試験を受験するには、栄養士の資格を取得したうえで養成校で管理栄養士に必要な知識や技術を学ぶか、栄養士として3年以上の実務経験を積まなければなりません。
栄養指導を行う対象者の違い
栄養士が栄養指導を行うのは、主に「健康な人」です。栄養学に基づいた献立の作成や調理方法の改善を行うことで、健康の維持や疾病の予防を目指します。
一方、管理栄養士が栄養指導を行うのは、主に「病気の人」や「食事が取りづらくなっている高齢者」など、特別な配慮が必要な人です。管理栄養士は、より高度な専門知識を持ち、大規模給食施設で管理業務や労務管理などを行います。
【勤務先別】栄養士の仕事内容

栄養士の仕事内容は、職場によって大きく異なります。ここでは、栄養士の代表的な職場と仕事内容を紹介します。
病院・クリニック
病院やクリニックの入院患者や通院中の患者は、健康な人とは異なる特別なケアを必要としています。最近では、「NST」と呼ばれる栄養サポートチームを設置する病院もあり、栄養士が、医師や看護師、薬剤師、理学療法士などの専門家と協力して患者のケアにあたります。
高齢者福祉施設
介護老人保健施設や特別養護老人ホームなどの高齢者福祉施設では、体の機能に合わせた適切な食事の提供が必要です。流動食や「きざみ食」など、調理方法も考慮しなければなりません。また、利用者の「食べる意欲」を引き出すような献立を考えることも、栄養士の大切な仕事といえるでしょう。
保育園・幼稚園
幼稚園や保育園にも栄養士が勤務しており、子どもたちが食べる食事の献立づくりと準備を行います。栄養学はもちろんのこと、アレルギーに配慮した献立づくりや、月齢・年齢に合わせた調理方法を考えるための知識が必要です。
学校
小中学校や給食センターも、栄養士の代表的な職場です。子どもたちの成長に必要な栄養素を計算して献立を考えるほか、調理場の衛生管理も欠かせません。学校に勤務する栄養士は、「学校栄養職員」と「栄養教諭」に分かれており、学校栄養職員になるには、栄養士または管理栄養士の資格が必要です。栄養教諭は、栄養士または管理栄養士の資格のほかに、栄養教諭と呼ばれる免許の取得が必須となります。
保健所などの行政機関
保健所や市町村保健センターに勤務して、地域住民の健康をサポートしている栄養士もいます。具体的な仕事内容としては、乳幼児から高齢者まで、あらゆる年代の健康教育や栄養相談などを担います。都道府県や市町村で行う健康政策の企画やイベントの開催、地域住民を対象とした調査などを行うこともあります。
食品会社
栄養士として食品会社に就職するという選択肢もあります。食品会社では、メニュー開発や機能性食品、サプリメントの開発など、栄養士・管理栄養士の知識が必要とされる場面が数多くあります。栄養に関する知識を活用して、営業や広報として活躍している栄養士もいるようです。
飲食店
近年、飲食店も栄養士の活躍の場として広がっています。無農薬食材を使った料理や低カロリー食を中心としたメニューを扱う店舗など、栄養の知識が必要な店舗に栄養士が在籍しているケースもあります。健康ブームを受けてメニューにカロリーや栄養素の表示をする店舗もあり、正しい計算には栄養士の知識が必要です。
栄養士の年収

栄養士の年収は300万円程度から、管理栄養士の年収は350万円からが目安となっており、 職場の幅が広いため、開きがあるのが現状です。
管理栄養士は、栄養士のなかでも高度な知識が求められることから、給与の水準が若干高めになっています。食品メーカーや医療メーカーでの研究職は、年収が450万円程度になることもあるようです。
給与にこだわりたい場合は、求人内容でキャリアアップのための支援制度や資格手当の内容を確認しておきましょう。
栄養士になるには?
栄養士・管理栄養士になるには、高校卒業後、栄養士や管理栄養士の養成課程がある大学・短期大学・専門学校に入学し、卒業する必要があります。
栄養士の資格は、養成施設の卒業と同時に取得できますが、日中の昼間に通学する必要があり、通信教育や夜間の通学では資格が取れないため注意が必要です。
管理栄養士になるには、「管理栄養士国家試験」に合格しなければなりません。最初に栄養士の資格を取得し、所定の条件を満たして管理栄養士の試験にチャレンジする方法もあります。
まとめ
栄養士・管理栄養士は活躍の幅が広く、「健康寿命」に注目が集まっている現代では、ますます栄養士のニーズが増えていくことが期待できます。
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