
AIの技術が進化し、自動化による業務効率化が進む現代。
「自分の仕事が将来的になくなるかもしれない」と不安になっている方もいるでしょう。
テクノロジーが進化しても人間にしかできない仕事の特徴を知っていれば、就職や転職に役立てることが可能です。
この記事では、将来なくならない仕事を根拠とともにランキング形式で紹介します。
将来なくならない仕事ランキング

野村総合研究所と、オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授、カール・ベネディクト・フレイ博士は、2015年度に共同研究「日本におけるコンピューター化と仕事の未来」を実施しました。
その内容をもとに、将来なくならない仕事ランキングを紹介します。
参考:日本におけるコンピューター化と仕事の未来|野村総合研究所
精神科医
世間的にメンタルヘルスケアの重要性が高まっており、それに伴って将来的な需要も増加すると考えられています。
メンタルケアを必要とする人がアクセスしやすい環境が整いつつあることも、需要増加の後押しになっています。
AIは、定型的な業務や既存のデータを用いた分析が得意ですが、新しい治療法の開発や、デジタル技術で医療サービスの質を向上させることを意味する「デジタルヘルス」の展開は未知の領域であり、人間にしかできないことです。
精神科医には、患者さんが抱えている不安や課題に寄り添って、適切な方向に導くための高度なコミュニケーションスキルも欠かせません。
国際協力専門家
国際協力専門家とは、主に途上国を対象とした人材育成や技術協力、インフラ整備、災害時の人材派遣などを行う専門家のことです。
気候変動や紛争、貧困問題など、国際協力専門家の知識が必要とされるシーンは多く、国という垣根を越えて将来的な課題の解決に取り組むことは、AIに代替できない仕事です。
また、募集されるポジションによっては、修士号以上の学位や関連分野の実務経験が必要で、英語をはじめとした語学力も求められます。
作業療法士
作業療法士は、リハビリの専門家として、病院やクリニック、高齢者福祉施設、在宅医療などでサービスを提供します。
日本は「超高齢化社会」といわれており、作業療法士が働く施設への入居者も増えると考えられていることから、今後もリハビリへのニーズは高まっていくでしょう。
言語聴覚士
言語聴覚士は、話すこと・聞くこと・飲み込むこと・食べることに特化した専門職です。
言語や嚥下障害のリハビリ、発達障害のサポート、聴覚障害を持つ人の支援まで、活躍の場が幅広いのが特徴です。
性別や年齢を問わずニーズがあり、特に高齢化社会では「飲み込むこと」に課題を抱えた人をサポートする必要性が高まっています。
一人ひとりの状況に合わせて、確かな専門知識をもとにしたきめ細やかなサポートが求められるため、単純なルーティンワークのような仕事に比べて「なくなる可能性が極めて低い」とされています。
産業カウンセラー
産業カウンセラーは、働く人のメンタルヘルスケアを専門とするカウンセラーです。
カウンセリングの実施を中心に、心理検査や面談の記録、心理的なサポートまでを幅広く担います。
クライアントに共感し、状況に合わせて柔軟な対応が必要になることから、AIでの代替が難しい仕事といえます。
外科医
外科医は、内科的な治療では対応できないケガや病気に対応します。
AIやテクノロジーの進化によって手術の技法は進化していますが、人間にしか対応できない仕事であるという事実は変わらないでしょう。
はり師・きゅう師
はり師・きゅう師は、鍼と灸によって身体の不調を緩和する東洋医学の専門家です。
鍼でツボを刺激し、灸で熱を加えることで、自然治癒力を高めることを目指します。
AIに代替されやすい仕事の特徴として、「誰がやっても同じ結果になる」ことがあげられますが、はり師・きゅう師は個人の力量によって結果に大きな差が出ます。
手を使って患者さんに直接触れる必要があることも、「将来なくならない仕事」としてピックアップされている理由のひとつです。
盲・ろう・養護学校教員
盲・ろう・養護学校教員は、特別な支援や教育を必要とする児童を支援する専門家です。
社会的に重要な役割を担っており、児童の状況に合わせて学習面・生活面のきめ細やかな支援を行う必要があるため、AIには代替が難しい仕事といえます。
児童の卒業後も、進学先や就職先の相談に乗るなどのサポートを継続的に行います。
メイクアップアーティスト
メイクアップアーティストは、ヘアメイクやメイクを行う専門家です。
形にとらわれず、個人の美的センスや複合的な知性が求められるメイクアップアーティストのような仕事も、AIに代替されない仕事にあてはまります。
近年は、SNS用の宣材写真を撮影する際にメイクアップアーティストが担当するなど、新たな活躍の場も増えており、今後も需要は続くと考えられます。
将来なくなる仕事とその特徴は?

「将来なくなる」と考えられている仕事には、次のような種類があります。
- 電車運転士
- 経理事務員
- 検針員
- 一般事務員
- 梱包作業員
- 路線バス運転者
- 積卸作業員
- 梱包工
- レジ係
- 製本作業員
日本におけるコンピューター化と仕事の未来では、日本の労働者の49%が高い自動化リスクにさらされていることが示唆されています。
同研究によると、自動化の可能性が最も高いのは、コンピューターが得意とする情報の保管や処理に関連する作業が多い職種です。
また、自動化されているのは単調な作業だけではありません。
例えば、Amazonの倉庫内のナビゲーションは、床のバーコードステッカーを利用することで正確な位置情報の把握が可能になり、現在では完全に自動化されています。
自動車の運転や税理士が行う業務、受付係・案内係も自動化のリスクが高い仕事と考えられます。
AIやテクノロジーが進化する時代に求められる人材とは?
総務省の人工知能(AI)の普及に求められる人材と必要な能力では、AIやテクノロジーが進化する現代においては、「業務遂行能力」や「基礎的素養」といった能力よりも、「チャレンジ精神」や「主体性」、「洞察力」など、人間的資質を備えていることが重要になってくると回答した専門家が多いという結果になっています。
能力的なスキルを高めることは重要ですが、同時に前向きな姿勢や円滑なコミュニケーションが取れる力を備える必要性も高いと考えられます。
そのような人材が、就職・転職市場で多く求められるでしょう。
まとめ
AIに多くの仕事が奪われると考えられている時代で重要になるのは、いかに「AIには代替できないスキルや能力を見極めて、それを高めていけるか」といえそうです。
「将来なくならない仕事」だけでなく、「将来なくなる仕事」の特徴も踏まえたうえで、求められるスキルの違いなどを自分なりに考えてみてはいかがでしょうか。
それによって、就職・転職に役立つ新たな視点が得られるかもしれません。
AIも日々進化しているため、常に最新の情報を収集することも忘れないようにしましょう。