
就職・転職活動で気になる休日。
実は「週休2日制」と「完全週休2日」は、名前こそ似ていますが、意味は大きく異なります。
この記事ではそれぞれの制度の違いや業界別の導入状況、
メリット・デメリットを解説。求人票のチェックポイントや休みを確保するコツも紹介します。
「週休2日制」と「完全週休2日制」はどう違う?
「週休2日制」と「完全週休2日制」は似ているようでも、意味合いはまったく異なります。
まずは両者の違いについて見ていきましょう。
週休2日制=毎週必ず2日休めるとは限らない
完全週休2日制とは、毎週必ず2日間休みを取れる状態のことを指します。
たとえば毎週土日が休みの会社は完全週休2日といえます。
また、シフト制の仕事であっても、1週間のうち必ず2日休日が取れるのであれば、
完全週休2日ということになります。
週休2日制とは年間を通じて1ヶ月に1回以上週2日の休みがある制度のことを指します。
たとえば以下のようなケースはすべて週休2日制となります。
- 1ヶ月に1回のみ土曜出勤がある
- 隔週で週休1日と週休2日の週がある
- 1ヶ月のうち1週のみ2日休める
そもそも労働基準法では「使用者は、少なくとも毎週1日の休日、
または4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならない」と定められています。
つまり、週休1日もしくは4週間で4日休みがあれば、法律的には問題ないということになります。
求人票でよくある勘違いと注意点
よくありがちなのは「週休2日=必ず毎週2日間休める」という勘違いです。
前述のとおり1ヶ月のうちに1週以上2日休める状態であれば、週休2日ということになります。
本当は毎週2日間の休みが欲しいのに、
週休2日の職場に就職したら2日休みの週が1週しかなかったというケースもあり得るのです。
紛らわしいのですが、「週休2日」と「完全週休2日」の違いをしっかりと押さえておきましょう。
各業界の「週休2日制」の現状

業界によって完全週休2日の会社が多いのか、週休2日の会社が多いのかが異なります。
ここからは各業界の週休事情について見ていきましょう。
なお、以下で紹介するのは、あくまで業界ごとの傾向です。
もちろんすべての会社が当てはまるわけではないのでご注意ください。
週休2日制が多い業界
大手転職サイト「マイナビ転職」では、
掲載している求人情報をもとに業種別の完全週休2日率を算出したデータを公開しています。
特に
- 運輸・交通・物流・倉庫(33.68%)
- 流通・小売・フード(38.17%)
- 教育(39.29%)
- 医療・福祉(42.99%)
などの業界では、週休2日制を採用している企業が多い傾向にあります。
※括弧内は完全週休2日率
出典:https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/caripedia/132/
IT業界や外資系企業の休日事情
一方で、
- IT・通信・インターネット(83.84%)
- コンサルティング(75.25%)
- マスコミ・広告・デザイン(68.90%)
の業界では、完全週休2日制を採用している企業が多い傾向にあります。
企業が「完全週休2日制」を導入しない理由とは?
週休2日制が多い業界としては
運輸・交通・物流・倉庫、流通・小売・フード、教育、医療・福祉などが挙げられます。
これらの業種はいずれも土日祝日だからといってサービスを止めることはできません。
また、繁閑の差が激しい業種でもあります。
そのため、柔軟に労働力を確保するために週休2日制が導入されていると考えられます。
また、業種にかかわらず厳しい納期に対応しなければならない、
労働力が足りていない、断続的に商品・サービスを提供しなければならないという会社では
完全週休2日制の導入は難しい側面があるでしょう。
また、完全週休2日制の企業が多いIT業界やコンサルティング、マスコミなどでも、
繁忙期や人手不足の際には休日出勤が求められる場合があります。
もちろん業界ごとの傾向はあるものの、それよりは個々の企業の状況に着目すべきです。
週休2日制のメリット・デメリット

ここからはあえて週休2日制の職場を選ぶメリットとデメリットについて考えてみましょう。
【メリット】柔軟な働き方ができる
週休2日制を導入している企業が多い業種では、
業務の性質上シフト制を導入している会社も少なくありません。
シフト制の職場では平日が休みになる、自分が希望する日に休日を取得できる可能性もあります。
そのため、空いている平日に旅行や趣味を楽しみたい、用事を済ませたいという方にはメリットになり得ます。
また、週休2日制の会社は完全週休2日制の会社と比べると休日が少なくなる分、
1日あたりの労働時間も少なくなります。
詳しくは後述しますが、仕事がある日もプライベートを充実させたいという方には合っているかもしれません。
【デメリット】必ずしも週2日休めるわけではない?
週休2日制のデメリットはなんといっても休日が少なくなってしまう点です。
たとえば、完全週休2日制の職場と月に1回週休1日の週がある職場とでは、
単純に年間休日は後者のほうが12日少ないということになってしまいます。
1週間のうち2日しっかりと休みたい方は完全週休2日の職場を選ぶしかありません。
労働時間と週休との関係
労働基準法では
「1週間あたりの労働時間は1日に8時間、1週間に40時間を超えてはならない」
と定められています。
休日に関しては前述のとおり
「使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならない」
というルールがあります。
この2つのルールを守れば、休日や1日の労働時間は柔軟に変更することが可能です。
たとえば、完全週休2日制の職場では1日あたり8時間の労働時間が上限となります(8時間×5=40時間)。
一方週休1日の場合は1日あたりおよそ6.6時間が上限です(6.6時間×6=39.6時間)。
よって、週休2日の場合よりも、週休1日の職場のほうが休日は少なくなるものの、
1日あたりの労働時間も少なくなるのです。
週休2日制の求人を選ぶ際のポイント
以上のように週休2日制と完全週休2日制では大きな違いがあります。
「イメージと違った」とならないよう、求人を選ぶ際には以下のような点を意識しましょう。
求人票でチェックすべき「休日」関連の記載
まずはしっかりと求人票を確認しておきましょう。
「完全週休2日」なのか「週休2日」なのかという点はもちろん、年間休日もチェックしておくべきです。
同じ週休2日制でも、休日が2日ある週が月に3週あるのか1週あるのかでは大きな違いです。
年間休日数を確認することで、どの程度休めるのかが把握できます。
実際に応募前に確認すべき事項
面接の場では休日も含めて労働条件に関することはなかなか聞きにくいものです。
そこで、聞き方を工夫しましょう。
たとえば
「今資格取得を目指しています。勤務スケジュールをお聞きできますか?」
というように聞けば、ネガティブな印象を与えず休日について聞くことができます。
また、面接では聞きにくい場合は、職場見学の際に先輩社員に尋ねてみるのもよい方法です。
なお、転職活動の際には給与や休日だけでなく、福利厚生についてもしっかりとチェックされることをおすすめします。
『給料だけじゃない!転職時には福利厚生も要チェック!確認すべきポイントを解説』
『【2022年版】従業員も企業も幸せになる!福利厚生の最新トレンド』
転職時に「休みの取り方」で失敗しないためのコツ
たとえ週休2日制の職場で年間休日が少なくても、有給が取りやすい環境であれば、
有給が取りにくい完全週休2日制の職場よりもしっかり休める可能性もあり得ます。
就職・転職する際には有給の取りやすさについてもしっかりとチェックしておきましょう。
また、有給を取得する際には以下の記事のような点を意識しましょう。
『“気持ちよく・不安なく休む”ために心得ておきたい休みの取り方とマナーを解説』
まとめ
完全週休2日制と週休2日制は似て非なるものです。
週休2日制は1日しか休めない週もあり得るので、後悔しないようしっかりとチェックしておくことが大切です。
業界ごとの導入状況を知り、自分に合った働き方を考えてみましょう。
また、休日の取り方については会社見学時あるいは面接時にしっかり確認することが重要です。