転職先を選ぶ際に気になるのはやはり給料ではないでしょうか。
しかし、給料だけではなく福利厚生にも目を向けてみましょう。福利厚生が充実しているか否かで、働きやすさや生活の質が大きく変わってきます。
この記事では福利厚生の意味や実例、転職時に応募先の福利厚生をチェックする際のポイントについてご説明します。
そもそも福利厚生って何?
福利厚生とは給与や賞与以外に企業が従業員に対して提供する報酬のことです。
現金で支給することもありますが、保険の加入や制度、サービスの提供、設備の利用、割引サービスなど、現金以外の形態で支給されることもあります。
また、従業員本人だけでなく家族や元従業員が提供の対象とされるケースもあります。
福利厚生には2種類ある!
福利厚生には「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」という2種類があります。
それぞれどのようなものなのかを見ていきましょう。
法定福利厚生とは?
法定福利厚生とは法律で企業が従業員に対して提供するよう定められている福利厚生のことを指します。
具体的には健康保険や厚生年金保険、労災保険、雇用保険、介護保険、子ども・子育て拠出金などが挙げられます。
企業は従業員をこれらの保険に加入させ、保険料の一部または全部を負担しなければなりません。
法定外福利厚生とは?
法定外福利厚生とは、上記の法定福利厚生以外のものを指します。
法定福利厚生を用意するかどうかは個々の企業の判断に委ねられます。企業によって差が出るのはこの法定外福利厚生の部分です。
福利厚生はなぜ重要?
福利厚生は従業員やその家族の幸福度を上げる、働きやすい環境を整えることを目的として提供されます。
福利厚生が充実している企業を選ぶことで、健康的で経済的にも安定した生活が送れるようになる、家族が幸せになる、仕事に対するモチベーションが上がるなどのメリットが得られます。
また、企業側としても従業員のモチベーションが上がることで生産性が向上する、離職率が低下する、社会的な信用が上がるなど、さまざまな利点が得られるため、福利厚生を充実させる会社も多いのです。
福利厚生にはどんなものがある?
福利厚生には具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
ここからは代表的な例を見ていきましょう。
社会保険
まず挙げられるのは健康保険や厚生年金保険、失業保険、労災保険などの社会保険です。
これらの保険は健康的な生活、あるいは経済的に安定した生活を送る上では欠かせません。
たとえば健康保険に加入しなければ高額な医療費を支払うことになります。
厚生年金がなければ定年退職後に経済的に困窮するリスクが高くなるでしょう。失業保険に加入していれば、たとえ失業したとしても保険金で当面の生活費や就職活動費を賄うことが可能です。
国民の最低限の暮らしを守るため、これらの福利厚生は企業側が用意しなければならないよう法律で定められています。
家賃・住宅補助
手当を支給して家賃や住宅ローンの支払いを補助する制度です。
特に転居を伴う転勤がある場合、家賃や住宅補助制度があれば家賃の負担を軽減することができます。
また、家賃・住宅補助の代わりとして寮や社宅を用意している会社もあります。
育児休暇・介護休暇
子育てや親族の介護のために休暇が取得できる制度です。
近年では従業員に仕事と家庭を両立してもらうために、性別関係なく育児休暇や介護休暇が取得しやすいよう、制度を整備している会社も増えてきています。
また、子育てや介護をしながら仕事ができるよう時短勤務やリモートワークを導入する会社も多くなりました。
食堂・食事補助
毎日の食事の費用も従業員にとっては大きな負担です。
食堂を設けて食事を提供する、手当を支給して食事にかかる費用を負担する制度を福利厚生として設けている企業もあります。
保養所
従業員に充実した余暇を過ごしてもらうために、あるいは社員旅行やイベントなどで集まったり宿泊したりできるよう、保養所を設けている企業もあります。
ただ、最近は保養所を維持するコストがかかる、利用率が低いということで、保養所の代わりにホテルやテーマパークなどの割引サービスが利用できるような制度にシフトをしている傾向があるようです。
こんなものまで!?ユニークな福利厚生
以上で福利厚生の代表例を見てきましたが、従業員の幸福度の向上や社会問題の解決などを目的として独自の制度を用意している企業も少なくありません。
ここからはユニークな福利厚生の例をご紹介します。
花粉症手当
花粉症は今や国民病といえます。
花粉症の治療や緩和のために医療機関を受診した際、薬などを購入した際に支払った費用を負担する制度です。
また、花粉や臭い、ウイルスなどが飛散しないようにオフィスに空気清浄機を置いて働きやすい環境を整備している企業もあります。
妊活・不妊治療費の補助
今、日本が抱えている大きな社会課題として少子高齢化が挙げられます。
一方で、望んでいてもなかなか妊娠できなくて悩まれている方も多いです。
子どもを望む従業員のために、出産休暇や育児休暇だけでなく、妊活や不妊治療を補助している事例もあります。
育自分休暇制度
大手IT企業で導入されている制度で、多様な働き方や自分に合った人生を実現してもらえるよう、退職しても最長6年間職場復帰ができることを保証しています。
一旦会社を辞め別の会社で働いてみる、教育機関で学び直す、海外に留学するなど、自分がやりたいことができるという制度です。
親孝行支援制度
大手ハウスメーカーが行っている福利厚生制度です。
遠方に住む親のもとに帰省する際に補助金が支給され、年4回まで利用できます。
親孝行支援制度を導入することで、従業員とその家族の幸福度が高まり、社員のモチベーションも向上しているそうです。
自転車通勤手当
自転車で通勤することでガソリン代や電車やバスなどの運賃を節約できる、二酸化炭素の排出を軽減できる、運動不足を解消できるなど、さまざまなメリットが得られます。
カーボンニュートラルの実現や従業員の健康促進、あるいは自動車や公共交通機関を利用する通勤者との不公平感の解消を目的に、自転車通勤者に対して手当を支給するケースもあります。
福利厚生のチェックポイント
福利厚生が充実している企業で働くことで生活の質も向上します。
ここからは転職時に福利厚生をチェックする方法やポイントについて見ていきましょう。
求人票などで情報を収集する
まずは求人票や採用ページなどでどのような福利厚生制度があるか確認してみましょう。
採用活動をしている企業にとっては福利厚生も大きな差別化要素のひとつですので、積極的に情報を開示しているはずです。
現職場の福利厚生と比較してみる
候補となる企業が用意している福利厚生と現職場の福利厚生を比較してみましょう。
現職場よりも充実している場合、転職することで生活の質が向上する可能性があります。
逆に現職場よりも福利厚生が充実していない場合は要検討です。
自分が必要としている福利厚生と必要ない福利厚生を明確にする
以上のように福利厚生にはさまざまなものがあります。
いくら制度が充実していたとしても、ご自身が必要としているものがなければ意味がありません。
たとえば「産休や育休は必須」「親の体調が良くないから介護休暇があると助かる」「保養所は特になくてもいい」というように、候補先企業の福利厚生制度の中で、自分が必要としているものと必要としていないものを考えてみましょう。
給料だけ・福利厚生だけで転職先を決めない
給料が充実していても福利厚生が充実していない企業もあれば、逆に給料はそれほど高くなくてもものすごく福利厚生が充実している企業もあります。
給料の額、福利厚生の有無、どちらかだけで転職先を決めるのではなく、総合的に判断しましょう。
まとめ
給料と比較すると福利厚生は意外と見落としがちですが、転職者にとっては大切な要素のひとつです。福利厚生で仕事のパフォーマンスや生活の質が大きく変わることもあり得ます。
たとえば家賃・住宅補助や食堂・昼食補助があるかないかで、月々の支出が大きく異なるはずです。これから家庭を築いていきたいと思われている方は出産休暇や育児休暇、あるいは時短勤務やリモートワークの可否などに着目してみましょう。
福利厚生は会社によって内容が全然異なります。給料も大切ですが、それと同じくらい福利厚生にも注目してみましょう。
もちろん、給料や福利厚生以外にも、転職先を選ぶポイントはさまざまあります。
こちらの記事も参考に、ご自身に合った会社を選びましょう。