調剤薬局事務は、調剤薬局で患者さんの応対や薬剤師のサポートをする仕事です。
薬や保険に関する専門知識が身につくのが特徴で、長く安定して働けるなどのメリットがあります。
この記事では、調剤薬局事務の仕事内容や、未経験でも仕事に就けるのか、必要な資格はあるのかといった基礎知識を解説します。年収の目安も紹介しますので、調剤薬局事務の仕事に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
調剤薬局事務の仕事内容は？
調剤薬局の仕事は、薬剤師と調剤薬局事務に分かれます。調剤薬局事務の主な仕事は、患者対応や会計、レセプト（診療報酬請求）業務です。
調剤薬局事務のメインの仕事は、患者さんが病院からもらった処方箋を受け取ることです。お薬手帳に薬に関する情報が書かれたシールを貼り付け、必要に応じて保険証の確認も行います。薬は薬剤師が準備しますが、薬を入れる袋は調剤薬局事務スタッフが準備します。間違いが許されない仕事なので、作業は慎重に行わなければなりません。
レセプト請求は、月に一回、決められた期日までに行う必要があるため、その間は忙しくなります。
また、調剤薬局事務が調剤の補助を行う「調剤助手」を兼任することもあります。薬剤師の指導・監視のもと、薬剤師の業務をサポートするのが調剤助手の仕事です。具体的には、薬の数のカウントや納品された普通薬の受け取りといった、薬剤師の資格がなくてもできる業務を担当します。粉薬を小袋に分ける作業などは薬剤師の資格が必要になるため、調剤助手は行うことができません。
調剤薬局事務は未経験OK？
調剤薬局事務は、薬剤師のように必須となる資格はなく、未経験でもチャレンジできる仕事です。ただし、倍率が高いといわれているため、対策は必要です。
調剤薬局事務に関連する資格を取得しておくと、面接で有利になる可能性があります。資格取得のための勉強で専門知識が身につくため、就労開始後もスムーズに業務を進められるでしょう。
調剤薬局事務の仕事に役立つ資格
ここでは、調剤薬局事務の仕事に役立つ資格を紹介します。
調剤薬局事務検定試験
調剤薬局事務検定試験は、日本医療事務協会が主催する資格試験で、2018年より実施されています。調剤薬局で請求や事務の業務を行うために必要な基礎知識と技能レベルが問われます。
医療の分野では、「医薬分業」といわれるように、患者の診察や薬剤の処方を医師が担い、調剤や薬歴管理、服薬指導といった業務を薬剤師が担うことで、医療の質を高めようとする動きがあります。
2020年には、院外の薬局で調剤を受けた割合を示す「処方箋受取率」が75％を突破し、医薬分業が進んでいます。このような背景から、調剤薬局で働く専門的なスキルを持ったスタッフの需要が高まっているのが現状です。調剤薬局事務検定試験には、調剤薬局事務を担うスタッフの知識や技術を向上させる目的があります。
調剤事務実務士®（調剤情報実務能力認定試験）
調剤事務実務士®は、医療福祉情報実務能力協会が設立した民間資格です。
薬剤師のサポートや薬剤情報の提供といった高度な人材を育成するための資格試験で、レセプト業務について一定の知識を持っていることの証明になります。調剤事務に必要な薬学や医療保険制度、点数算定といった知識が体系的に学べるのが特徴です。
調剤事務管理士®技能認定試験
調剤事務管理士®技能認定試験は、技能認定振興協会（JSMA）が認定する資格で、調剤事務でレセプト業務や受付、会計を行うための基本的な知識やスキルを学べます。資格取得の勉強を通じて、薬価基準や薬の作用といった薬に関する基礎知識を身につけることも可能です。
有資格者は、全国の保険調剤薬局で高く評価されるため、就職で有利になるでしょう。
調剤薬局事務の年収
雇用形態や勤務先の薬局の形態によって給与は大きく異なりますが、調剤薬局事務の仕事の年収は280万円程度が相場です。
正社員は勤務年数に応じて基本給が上がる職場が多く、年収400万円程度になることもあります。派遣社員の時給は1,500～1,800円前後で、アルバイトに比べて水準が高くなっています。
調剤薬局事務の仕事に就いている人の中には、退職後に再び働く人も多くいますが、大幅に給料が下がることは少なく、世代を問わず幅広く人気がある仕事なのが特徴です。
調剤薬局事務のメリット
調剤薬局事務は、未経験でもチャレンジできるだけでなく、雇用形態も幅広いためライフスタイルに合わせて働きやすいなどのメリットがあります。調剤薬局事務のメリットを、もう少し具体的に見ていきましょう。
店舗数が多いので働く場所が見つかりやすい
令和2年の時点で、全国の調剤薬局の店舗数は6万件を超えています。
店舗数が多いため、引っ越しなどライフスタイルの変化があっても、働く場所に困らないのが魅力の一つです。ブランクがあったとしても、経験者は歓迎されることが多いため、復帰しやすいでしょう。
将来性が高い
日本のような高齢化社会において、医療は今後も成長が見込める分野です。実際に、処方箋の受付枚数は上昇傾向[浅の5] にあり、調剤薬局の需要が高いことがわかります。店舗内に調剤薬局を併設するドラッグストアも数多くあり、長く安定して働くことが期待できる職種です。
薬の知識が身につく
調剤薬局事務の仕事の一つに、処方箋をレセプトに入力する作業があります。また、薬剤師の指示のもと、調剤のサポートを行うことで薬の知識が身につくのもメリットです。
薬の知識は日常生活に役立てることもでき、一度仕事を辞めて、 再び調剤薬局事務の仕事に就きたいと思ったときにも、キャリアとして活かせます。
調剤薬局事務のデメリット
メリットが多い調剤薬局事務ですが、次のようなデメリットもあります。
医療事務に比べて求人数が少なめ
調剤薬局事務は、医療事務に比べて求人数が少ない傾向があります。調剤薬局の数そのものは多いものの、店舗の規模によっては必要な調剤薬局事務スタッフの数も限られます。特に、パートやアルバイトの求人は人気が高く、すぐに採用枠が埋まってしまうこともあるようです。
専門的な知識やスキルが必要
調剤薬局事務の仕事を行うには、薬の基礎知識に加えて保険に関する専門知識も必要です。仕事に必要な知識は就労後に身につけることも可能ですが、自ら学ぶ姿勢が求められます。
慣れるまでは大変かもしれませんが、一度身につけてしまえば転職の際も有利になります。本記事で紹介した調剤薬局事務に関連する資格の取得を目指して勉強するのも、スキルアップにおすすめの方法です。
土日祝日に休めないことがある
調剤薬局の定休日は店舗によって異なり、週末に営業しているところもあります。土日祝日に休めない職場があることは、調剤薬局事務の仕事に就くうえでのデメリットといえるでしょう。シフト制の職場や、休日や勤務時間について相談できる職場もあるため、求人内容をよく確認したうえで応募しましょう。
まとめ
調剤薬局事務は専門性の高い仕事で、大変な面もあります。しかし、長く安定して働ける職場を探している人や、スキルを身につける意欲がある人にとっては魅力の多い仕事でしょう。
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