転職の際に提出を求められる職務経歴書には「活かせる知識・スキル」という項目があり、その内容は採用担当者もかなり注目しています。
今回は「活かせる知識・スキル欄に何を書けばいいのかわからない」という方のために、具体的な知識・スキルを例も交えて紹介。好印象を与える書き方のポイントについてもご説明します。
そもそも職務経歴書って何?「活かせる知識・スキル」の書き方
まずは職務経歴書とはどのような書類なのかをおさらいしておきましょう。そのうえで「活かせる知識・スキル」の書き方を、記入例も交えてご紹介します。
職務経歴書は業務経験やスキルをまとめた書類
職務経歴書とはこれまでの実務経験や自分のスキルを詳細に記載する書類であり、履歴書とは別に用意します。履歴書には職歴や経験・スキルを簡潔に書き、職務経歴書でそれらについて詳しく説明します。
特に転職では職務経歴書の提出を求める企業も多いです。提出が必須でなくてもご自身の経験やスキルをアピールできる資料となるため、必ず作成しましょう。
職務経歴書に記載する項目
職務経歴書には決まったフォーマットはありませんが、主に以下のような項目を記載します。
- 職務要約
- 職務履歴
- 活かせる知識・スキル
- 免許・資格
- 自己PR
「活かせる知識・スキル」の書き方
「活かせる知識・スキル」には、応募先の業務に活かせそうな知識、スキル(技術や能力)を記載します。「何を」「どの程度」できるのかを簡潔にわかりやすくまとめしましょう。
以下のようにカテゴリに分けて箇条書きで記載すると伝わりやすいです。
■活かせる知識・スキル
【パソコンスキル】
- Microsoft Word…MOS(Word 365&2019 expert)取得
- Microsoft Excel…MOS(Excel 365&2019)取得
- Microsoft PowerPoint…プレゼンテーション資料の作成経験あり(経験年数5年)
- Adobe Photoshop…商品写真の編集経験あり(経験年数2年)
- 動画編集ソフト(●●)…カット、字幕やエフェクトの挿入など(経験年数1年)
- CSS…サイト構築経験あり(経験年数3年)
【語学】
英語…TOEIC780点取得。米国に1年留学経験あり
中国語…電話・メール対応経験あり
また、以下のように表を用いるという方法もあります。
職務経歴書の基本的な書き方や項目について詳しく知りたい方はこちらの記事も参考になります。
職務経歴書の「活かせる知識・スキル」に記載できるスキル例
ここからは人事担当者から高評価が得られる可能性がある、転職市場でニーズが高い知識・スキルについて記載例も交えてご紹介します。以下のような知識やスキルがあれば、積極的にアピールしましょう。
パソコンスキル
今やパソコンはどの職場でも使われます。ただ、IT企業やWeb系の企業は別としてパソコンを使いこなせる人、深く理解している人は意外と多くありません。パソコンのスキルや知識があれば即戦力になれる可能性があります。
【記載例】
- Microsoft Word…MOS(Word 365&2019 expert)取得
- Microsoft Excel…MOS(Excel 365&2019)取得
- Microsoft PowerPoint…プレゼンテーション資料の作成経験あり(経験年数5年)
- Adobe Photoshop…商品写真の編集経験あり(経験年数2年)
- 動画編集ソフト(●●)…カット、字幕やエフェクトの挿入など(経験年数1年)
- CSS…サイト構築経験あり(経験年数3年)
語学
グローバル化が進む今、語学も非常に需要が高いスキルです。特に海外に進出している企業やこれから進出しようとしている企業、海外駐在や通訳など語学を使う職種に応募する場合は積極的にアピールしましょう。
【記載例】
英語…TOEIC780点取得。米国に1年留学経験あり
中国語…電話・メール対応経験あり
ビジネススキル
ビジネスを行ううえでは営業やマーケティングなどの専門的な知識やスキルから、問題解決能力や提案力、プレゼンテーションスキル、マナーまで、さまざまな知識やスキルが必要となります。上記のPCスキルや語学と比較して幅が広く、客観的な表現も難しいですが、資格や成果をあげた実例があればアピールしましょう。
こちらの記事では仕事に活かせるビジネススキルについて詳しくご紹介しています。こちらも参考に書いてみましょう。
【記載例】
- ビジネスマナー…秘書検定準1級取得
- マーケティング…マーケティング検定2級取得。マーケティング部門に3年在籍し、Webメディアの立ち上げに携わる
- プレゼンテーションスキル…Webサイトのデザインを決める社内コンペで採用実績あり
コミュニケーションスキル
企業で働くうえではコミュニケーションスキルも必須です。こちらも客観的に表現しづらいですが、ご自身の経験やエピソードをもとにアピールしましょう。
【記載例】
- 大学時代にサークルの渉外担当経験あり。学園祭では実行委員と連携しブースを出店し、成功を収めました。
- クライアントの悩みに寄り添う営業スタイルを大切にし、担当エリアで成績1位を獲得した実績がございます。
- 重要顧客のクレーム対応経験あり。当初は大変お怒りになられていて契約解除を申し入れられていましたが、誠心誠意謝罪とご説明した結果ご納得いただいたうえに追加注文をいただくまでに関係を改善しました。
マネジメントスキル
経営層や管理職の求人、あるいは幹部登用前提の求人に応募する場合、マネジメントスキルについても積極的に記載しましょう。マネジメントの経験とそこから得た知見も交えて書くと効果的です。
【記載例】
- 新入社員の指導役を3年間経験。自分は理解していることでも、新入社員はわかっていないケースも多く、相手のレベルに合わせて物事を見て、伝えることの大切さを学びました。
- 15名のメンバーが在籍する営業課の課長職として3年間マネジメントに従事しました。新しく週1回チームミーティングを行ったところ、助け合いの姿勢も強くなって部署全体の成績が2割向上。私も改めてコミュニケーションや情報共有の重要性を認識しました。
- プロジェクトリーダーを経験しました。開発や営業など、幅広い部門と協業し、1年間の準備期間を経て商品化に成功。他部署が仕事をしやすいような仕組みを整えることで、依頼がスムーズになり、連携も密になりました。
その他応募先で必要とされる知識・スキル
上記以外にも応募先で必要とされる知識・スキルがあれば必ずアピールしましょう。たとえば工務店やハウスメーカーであれば宅地建物取引士や建築士、ファイナンシャル・プランナーなどの資格があれば非常に有利です。税理士事務所や会計事務所であれば、税理士や公認会計士、簿記検定などの資格や経理業務などの実務経験があれば、やはり高評価につながります。
【記載例(工務店・ハウスメーカーに転職する場合)】
- 宅地建物取引士、2級建築士の資格を保有
- 大手ハウスメーカーに7年間勤務。注文住宅の設計部門において年間●棟の設計に携わりました。
- お客様とのお打ち合わせでは時間を惜しまず要望に徹底的に耳を傾けることを意識しています。お引渡し時やアンケートでも感謝のお言葉を多数いただきました。
【記載例(税理士事務所・会計事務所に転職する場合)】
- 簿記検定2級取得
- 商社の経理部門に5年間在籍。会計データの入力、伝票の発行、入出金業務に従事。税理士事務所との連絡・調整役も担っておりましたので、顧問先様目線での対応が可能です。
職務経歴書の「活かせる知識・スキル」で意識したいポイント
「活かせる知識・スキル」の書き方を工夫することで、より採用担当者から高評価が得られる可能性が高まります。逆に情報が不十分だと「本当にできるのか」「嘘をついているのではないか」と疑われることにもなりかねません。以下のことを意識して書いてみましょう。
具体的にどのレベルなのかがわかるように書く
知識・スキルは「どの程度できるのか」「具体的に何ができるのか」を意識して書きましょう。たとえば「英語が話せます」と書いても、それが海外の取引先とのビジネスで通用するレベルなのか、日常会話ができるレベルなのか、海外旅行で支障がない程度なのかがわかりません。
「TOEIC●点」「英検●級」という資格を記載する、あるいは「海外との取引先と交渉ができる」「メールでのやり取りが可能」というようにできることを記載することで、レベルが客観的にわかります。
具体的な事例も交えて書く
特にビジネススキルやコミュニケーションスキル、マネジメントスキルは客観的にレベルが表現しづらいです。そこで、具体的な事例やエピソードを記載すると説得力が増します。また、ただ事実のみを記載するのではなく、「どのような成果をあげたのか」「経験を通じてどのような知見が得られたのか」を詳しく書くと効果的です。
応募先に自分を採用するメリットが伝わるように書く
自分を採用することで応募先が得られるメリットを意識して記載しましょう。たとえば経理部門での経験があって税理士事務所や会計事務所を受ける場合、「経理担当者として税理士事務所とやり取りしていた→顧問先様目線で接することができる」というように記載することで、税理士事務所や会計事務所の採用担当者は採用するメリットを感じるはずです。
応募先で活かせる知識・スキルがない場合は?
「応募先で活かせる知識やスキルがない」と思っていたとしても、空欄にするのは良くありません。些細なことでもいいので記載しましょう。これまで社会人を経験してきた中で、なにがしかのスキルや知識を身につけてきたはずです。また、ご自身では「大したことがない」と思い込んでいても、応募先にとってはそれが重要な知識・スキルである場合があります。
どうしても思い浮かばないなら趣味から考えるのもおすすめです。たとえばパソコンでネットサーフィンをするのが好きなら、パソコンの知識やスキルを記載してもいいかもしれません。パソコンがまったく使えない人が多い職場では、そのスキルも重宝するはずです。社会人サークルや同好会に入っているのであれば、コミュニケーションスキルが役に立つ可能性があります。
まずは自己分析を行い、ご自身の長所を棚卸ししましょう。
まとめ
転職においては履歴書だけでなく職務経歴書の作成も必須です。むしろ採用担当者は職務経歴書の内容のほうを重視している傾向があるので、内容次第では自分をアピールする強力な武器になり得ます。
応募先や応募職種で活かせられる知識・スキルをチョイスし、具体的に「何が、どの程度できるのか」を資格など客観的にわかる指標やエピソードを交えて伝えることで、好印象につながるはずです。