
資格は自分のスキルや知識を証明してくれるものであり、これを取得することで就職や転職が有利になる可能性があります。しかし、世の中にはさまざまな資格制度があり、どれを取得すればよいのか迷ってしまいます。 そこで今回は、年代別に転職に有利となる可能性がある、おすすめの資格をご紹介します。
新卒・20代の転職で有利になる資格
新卒や20代(第二新卒)は、社会人として必要とされる基本的な素養や業務を遂行するための最低限の知識や技術が身についているかどうかが見られるため、これを証明するような資格の取得がおすすめです。
マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
Word、Excel、PowerPointなどのオフィスソフトの操作スキルを証明する国際資格です。これらのオフィスソフトは職場で使う機会がかなり多く、特に文書や資料を作成する事務職や営業職として就職・転職するのであれば、有利に働く可能性があります。
TOEIC
正式名称は、「国際コミュニケーション英語能力テスト」です。日本を含め160カ国で実施され、TOEICの点数で自分の英語力を客観的に証明することができます。特に海外営業や貿易など、海外で仕事をされる機会が多い部署や海外企業との取引がある会社で働かれる方には、必須の資格といえます。
秘書検定
秘書検定とは、秘書業務に必要なスキルを証明する資格です。合格するためには正しい敬語の使い方や身だしなみ、電話や来客応対、お茶出しなどのマナーに関する知識や技術が身についている必要があります。秘書検定を取得することでビジネスマナーが身についていることを証明できるので、秘書を目指している方はもちろん、すべての職種の方におすすめです。
簿記検定
簿記検定は、簿記(事業にかかわる資金の流れや経営成績、財務状況を帳簿に記録すること)の知識やスキルを証明する検定試験です。特に税理士事務所や会計事務所への就職・転職を目指されている方にとっては、必須の資格です。一般の企業でも帳簿を作成する経理職をはじめ、財務や経営企画、営業など数字を扱う職種では有利に働きます。
ファイナンシャルプランナー(FP)
ファイナンシャルプランナーとは、個人に対してライフプランニングや資金計画など、お金の面でアドバイスをする人を指します。金融、税制、不動産、住宅ローン、保険、教育資金、年金制度など、幅広い知識が求められます。ファイナンシャルプランナーとして働く方はもちろん、保険会社や不動産会社に就職・転職される方にもおすすめです。また、ファイナンシャルプランナーの資格取得で得られる知識は、自身の人生設計や資産形成にも大いに役立ちます。
宅地建物取引士
宅地建物取引士は、宅地建物取引業法に基づき定められている国家資格です。不動産取引に関する専門知識が問われ、取得することで契約締結前に行う重要事項の説明、重要事項説明書面(35条書面)への記名、契約内容を記した書面(37条書面)への記名という独占的業務が可能となります。有資格者は、不動産会社や住宅会社への就職・転職において大きく優遇される可能性があります。
介護職員初任者
介護施設で働く場合は、介護職員初任者研修を受けておくことをおすすめします。介護の基礎的な知識やスキルを身につけることができ、介護福祉士などの介護関連の資格の登竜門といえます。
30代の転職で有利になる資格

30代は、社会人としての基本的な素養やスキルが身についたと見られ、会社の中核として実務をこなして結果を出すことが求められる年代です。高度なスキルを証明できる資格があると転職が有利になります。
MOSや簿記検定、FPの上位資格
先ほどもご紹介したマイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)や簿記検定、ファイナンシャルプランナー検定の上位資格を取得することで、高い実務スキルを有していることを証明することができます。
中小企業診断士
中小企業診断士とは、中小企業の経営課題を解決するための診断やアドバイスを行う専門家です。中小企業診断士の資格を取得する過程で、経営やマネジメントなどの知識やスキルを身につけることができます。コンサルティング会社への転職や管理職として転職したい方におすすめです。
技能検定
技能検定は、働く人々が有する技能を一定の基準で検定することで、国がそれを証明する検定制度です。機械加工や建築工事、ファイナンシャル・プランニングなど、分野は多岐にわたります。技能検定を受検するためには知識だけでなく、一定の実務経験も必要となります。特に難易度が高い1級や特級などを取得すれば、高度な人材とみなされて転職がかなり有利になります。
電気工事士(建築関係など)
電気工事士は、電気設備の作業に従事するために必要な国家資格です。今はITの普及で電気工事士の需要も高まっています。建設会社や設備会社への就職が有利になるのはもちろん、電気工事士として独立するという可能性も開けます。
40代の転職で有利になる資格

40代ともなると高い専門性に加えてマネジメント能力や経営的な資質も求められます。希少性が高い資格を取得することで、転職によるキャリアアップが実現できる可能性があります。
一方で、業績悪化などによる早期退職や体調の問題、介護や子育てなど、なんらかの事情で仕事を辞めたときのことを考えて「食える資格」を取得しておくのもおすすめです。
士業資格
社会保険労務士、司法書士、行政書士、税理士、弁護士などの士業資格を保有しているとかなり有利です。難易度が高くて希少性があるため、転職が不利といわれる40代でも士業資格の有資格者は優遇される可能性が高いです。また、士業事務所を設立して独立するというキャリアを選択することもできます。
ITストラテジスト
ITストラテジストは、経営戦略に基づいてITを駆使した事業革新や業務改善を進めるITのプロフェッショナルで、情報処理技術者試験のなかでも最高峰に位置します。ネットが普及した現在、企業経営においてもITは必須です。一方で、日本はまだまだ諸外国と比べるとデジタル化は途上段階であり、今後はITストラテジストの需要はますます高まっていくでしょう。
証券アナリスト
証券アナリストは、経済状況や業界・企業の動向を分析して、顧客の証券投資を手助けする専門家です。この資格を保有していれば、証券会社や金融機関への転職が有利になるほか、ご自身でも投資を行うための知識を身につけることができ、資産形成に役立てることができます。
第二種運転免許
私たちがいわゆる運転免許と呼んでいるものは「第一種運転免許」となります。第一種免許を取得すれば普通自動車を運転することが可能です。一方、第二種運転免許を取得すればお客さんを乗せて運賃を貰うことができるようになります。例えば、二種免許を持っていればタクシー会社に就職してタクシー運転手として働くことができるため、保険として取得しておくとよいかもしれません。実際に40代や50代で会社を辞めて二種免許を取得し、タクシー会社に転職したという方も多いです。
フォークリフト運転技能講習
フォークリフトとは、荷物を運搬したりトラックなどに積み下ろししたりする際に使われる車両です。4日間の講習を受けることで、フォークリフトを運転できるようになります。多くの工場や倉庫ではフォークリフトが使われており、比較的取得しやすい上に、需要が高い資格です。こちらも保険的な意味ではおすすめの資格といえます。
まとめ
年代別あるいは業種や職種別に有利になる資格は異なり、高年齢になればなるほど、専門性が求められる難易度が高い資格を取得しておくのが好ましいといえます。若い方でも上級資格や士業資格などの難関資格を取得することで、転職が有利になるのはもちろん、キャリアアップや収入アップ、独立・起業につながる可能性があるため、資格取得を目指すのであれば、今から準備を進めていきましょう。
また、万が一今の仕事を辞めざるをえなくなったときの場合に備えて、普通第二種免許やフォークリフト運転技能講習などの、すぐに再就職できる免許を取得されるのもおすすめです。
資格を取得すれば転職が有利になる可能性は大いにありますが、勘違いをしてはいけないのは「資格があれば必ず転職できるとは限らない」ことです。実務経験を積み、スキルや知識を磨き、人間性を高めることが大切です。今の仕事を一生懸命取り組んでいろいろなことを吸収してこそ、はじめて資格が活きてくるはずです。