飲食店の仕事は、お客様から直接感謝の言葉をもらえるのが大きな魅力です。
店長になると、店舗スタッフの採用や教育にも関わることになるため、店舗スタッフからも感謝されることが増えるでしょう。飲食店の店長の仕事には大変な面もありますが、売上達成時には大きなやりがいを感じられることもあるなど、メリットがたくさんあります。
この記事では、飲食店の店長の仕事とやりがい、年収を徹底解説します。店長のキャリアアップについても説明しますので、ぜひご覧ください。
飲食店の店長の仕事内容
店舗に関するあらゆることを「管理」するのが、飲食店の店長の基本的な仕事です。ここでは、具体的な仕事内容を見ていきましょう。
お金を管理する
店舗の売上を管理することは、店長にとって最も重要な役割の一つです。年間売上目標から逆算して、月次、日次の目標を設定し、達成に向けての施策も立案します。
また、飲食店の運営には、材料の原価、店舗の賃料、光熱費、人件費など、さまざまな費用がかかります。それらの費用についても細かく管理し、利益が出るように調整しなければなりません。
売上は「客数 × 客単価」で計算できるため、客数を増やすか、客単価を上げることによって売上を増やすことが可能です。しかし、実際の利益は、売上からコスト(経費)を差し引いたものになるため、「売上が高くても利益があまり出ていない」という状況もあり得ます。
売上を上げるための施策を行いながら、同時に経費を適切にカットすることも店長の重要な仕事です。
人材を管理する
飲食店の運営には、店舗スタッフの協力が欠かせません。店長は、年齢やバックグラウンドが異なる多数のスタッフを管理するスキルを修得する必要があります。
人材の管理は、大きく「採用」と「育成」に分かれます。繁忙期や、学生のアルバイトスタッフが就職のために卒業する時期などを踏まえたうえで、必要な人材を確保できるよう逆算して採用活動を行います。
育成では、接客や料理を盛り付ける方法といったスキル面の指導だけでなく、やる気を引き出すための声かけなども重要です。
飲食店は、お客様に料理や素敵な空間を提供することで、非日常を楽しんでもらうことが大きな役割の一つです。モチベーション高く、イキイキと働いているスタッフが多い店舗は顧客満足度も高くなり、売上にもよい影響を与えるでしょう。日頃からスタッフと密にコミュニケーションをとり、良好な関係を築いていくことがポイントです。
また、スタッフのシフト管理も店長が行うケースが多くなります。
環境を管理する
飲食店は、食べ物や飲み物を扱うという特性上、衛生面には特に気を付けなければなりません。常に清潔な状態を保ち、従業員やお客様に危険がないよう、設備の点検も定期的に行いましょう。
環境の管理が必要な領域は幅広く、ホールのエアコンやレジなどのメンテナンスのほか、お客様が利用するテーブルやイスにも、ぐらつきなどの不具合がないかどうか確認が必要です。
冷蔵庫・冷凍庫に不具合があると素材が痛み、食中毒の危険が高まるので注意が必要です。また、キッチンのフライヤー(揚げ物を作る機械)やコンロなど、火を使う部分に不具合があると、従業員に危険が及ぶ可能性があります。
定期点検やメンテナンスのルールを定めて、事故を未然に防止することが何よりも重要です。
商品を管理する
飲食店では、提供するメニューが「商品」にあたります。
お客様に喜ばれるメニューを開発し、材料の仕入れ計画や賞味期限などの管理を行うことも店長の仕事です。店舗によっては、店長のほかに料理長が在籍しているケースがあります。その場合は、店長と料理長が協力しながらメニューや材料の管理を行う方法が一般的です。
お皿やグラス、ナイフ・フォーク類の不足や不備がないように、新しいものを発注することも商品の管理に含まれます。
飲食店の店長が「ツラい」といわれるのはなぜ?
「飲食店の店長の仕事はツラい」という口コミをSNSなどで見かけて、不安に感じる人もいるでしょう。
ここまで紹介してきたように、飲食店の店長の仕事内容は多岐にわたります。店長になったばかりの人は、仕事の量に戸惑ってしまうことがあるかもしれません。しかし、どのような仕事でも、最初からうまくできる人はいないので心配不要です。周りの人の協力を得ながら、店長として少しずつ成長していく日々は、振り返ったときに大きな資産となるでしょう。
また、飲食店の現場では、さまざまな業務のデジタル化によって変化が起きています。自動化できる部分をなるべく自動化することで、店長の作業負担の軽減や労働時間の短縮が可能です。
飲食店の仕事で最も大変なのは、スタッフのシフト管理や教育といわれています。
以前は店長が人力でシフト調整や勤怠管理を行うケースが主流でしたが、近年は勤怠管理システムが数多く登場しており、出勤日のヒアリングからシフト作成までの作業の自動化が可能です。さらに、勤怠管理システムに登録された情報をもとに給与計算も自動で行えるため、業務効率化につながります。
その他、予約台帳システムやPOSシステムによる在庫管理など、デジタル化によって飲食店の店長の負担を軽減する取り組みが進められています。
働き方改革や、ワークライフバランスを重視する人が増えたことなどを背景に、飲食業界にも働き方を見直す動きが出ています。住宅手当や介護・育休制度などの福利厚生が充実している職場も多いため、ぜひ「tenichi」で最新の求人内容をチェックしてみてください。
飲食店の店長のやりがい
飲食店の店長には、次のようにさまざまな魅力があります。
将来的に独立できる可能性がある
飲食店の店長を目指す人のなかには、将来的に独立を目指している人も少なくありません。
店長になると、店舗運営に必要なことを実践で学べるため、独立までのステップとして欠かせない経験といえるでしょう。
新店舗の立ち上げから携われば、独立時のシミュレーションも可能です。
お客様に感謝される
お客様から直接感謝の言葉を聞けることは、店舗スタッフとして働く人の特権です。もともと人に喜んでもらうことが好きで、飲食店を選ぶ人も数多くいます。
また、飲食店は、記念日や誕生日などを祝ったり、久しぶりに大切な友人と顔を合わせたりと、人生にとって大切なシーンが多い場所でもあります。お客様の特別な1日をスタッフとして演出し、喜んでもらえたときに大きなやりがいを感じるでしょう。
人の成長をサポートできる
飲食店の店長は、店舗のスタッフと協力しながら店舗を運営します。
入ったばかりのスタッフが徐々に仕事を覚え、立派に成長していく姿を間近で見られるのは、店長ならではのやりがいといえるでしょう。その過程で、店長のサポートは欠かせません。
お客様からの感謝の言葉は、飲食店の店長にとって嬉しいものですが、成長したスタッフからの感謝の言葉も同じくらい嬉しいと感じている店長も多いようです。
目標達成の充実感を得られる
飲食店の店長に期待されている大きな役割が、売上目標の達成です。日々数字を追いかけ、達成したときの充実感は、現場に立つ店長にとって大きなやりがいになります。
大手企業が経営する飲食チェーンの場合は、会社が企画するコンテストも頻繁に実施されます。「ライバル店とギリギリのせめぎ合いの末、社内1位を獲得してスタッフと喜びを分かち合った」という実体験もあるようです。
社内コンテストでは、順位に応じてボーナスが用意されることもあるため、やりがいにつながります。また、コンテストでよい成績をおさめた店長は社内で高く評価されることになり、その後のキャリアアップも期待できます。
飲食店の店長の年収
レストランの正社員の仕事は、年収380万円程度が目安です。
店長になると、目安よりも年収が高くなることもあり、大手チェーンの飲食店の店長であれば、年収500万円超えも期待できます。
ただし、飲食店の店長として年収をアップさせるためには、豊富な実績と経験が必要です。最初から高い給料にこだわらず、キャリアアップ制度が整っていることを優先するという考え方も必要でしょう。
早ければ20代で店長になることもできるため、時間をかけて、その後のキャリアをじっくりと形成することも可能です。
飲食店の店長のキャリアプラン
ここでは、飲食店の店長のキャリアプランを紹介します。店長の先の未来を想像しながら仕事を探すと、希望に合った職場が見つかりやすくなるでしょう。
独立開業
飲食店で店長として経験を積み、その後、独立するキャリアプランは、独立開業を目指すうえで最もよくある方法です。
「のれん分け制度」を活用した独立開業であれば、開業後に店舗運営を軌道に乗せやすくなるでしょう。のれん分けとは、独立開業する人に対して、店舗の商号の使用を許可することです。フランチャイズに似ていますが、のれん分けは完全な独立になるため、本社に対してロイヤリティ(店舗の看板の利用料)を支払う必要がありません。
個人経営のオーナーと師弟関係を築き、独立時に「のれん分け」してもらうケースもあります。
大手チェーンでエリアマネージャーに昇格
チェーン展開しているレストランや居酒屋の運営元には、エリアマネージャーと呼ばれるポジションがあります。
エリアマネージャーとは、特定のエリアに存在する複数の店舗の運営を管轄する責任者のことで、店長として優秀な成績をおさめることで本社から声がかかるケースもあります。
本社勤務にシフトチェンジ
数多くの店舗を運営する外食チェーンでは、本社の機能が重要な役割を果たします。
エリアマネージャーからのステップアップとして本社勤務を目指すことも可能で、現場で培った知見を活かして、広報やマーケティング、人事といった職種にチャレンジする人もいます。
まとめ
飲食店の店長の仕事は、店舗の規模や、フランチャイズ・個人経営などの運営形態などによって大きく変わります。
自分に合った仕事を見つけるには、複数の求人情報を比較検討するのがポイントです。ぜひ、「tenichi」で飲食店の店長の仕事内容を確認してみてください。