履歴書には必ず志望動機を書く欄があります。採用担当者が志望動機を見て採用を決めることもあれば、逆に不採用という判断をすることもあり得るため、決して気を抜くことはできません。この記事では採用につながりやすい志望動機を書くポイントを、例文も交えてご紹介します。
履歴書の志望動機が重要な理由とは?
志望動機とは「なぜその会社に入りたいと思ったのか?」「なぜその職種を選んだのか?」という、会社や職種を選んだ理由です。この志望動機は履歴書の数ある項目の中でも特に重要となってきます。その理由について見ていきましょう。
履歴書では志望動機は職歴の次に見られている
パーソルキャリア株式会社が2018年12月に103名の採用担当者(過去3年以内に中途採用での書類選考を担当した人)を対象にアンケート調査を行いました。「履歴書の記載内容のうち最も重要視する項目」という設問で、38.8%の人は「職歴」を挙げました。そして次に多いのは「志望動機・志望理由」で23.3%となっています。職歴の次に志望動機が見られており、採用担当者の5人に1人は志望動機を最も重要視しているということになるのです。
ちなみに、「自己PR」は10.7%、「写真」は9.7%、「学歴」は7.8%、「免許・資格」は6.8%、「本人希望記入欄」は1.9%、「趣味・特技」は1.0%という結果になっています。
志望動機が重視される理由は?
志望動機が重視される理由として、「意欲や熱意があるかどうか」を判断する材料になることが挙げられます。ただ「面白そうだったから」「興味があったから」という志望動機では、なかなか意欲や熱意が伝わりません。採用担当者としては「なんとなくうちを選んだんじゃないか」「入社しても適当に仕事をするのでは」と感じてしまいます。
「数ある企業の中でなぜ志望先を選んだのか?」「どのような点に興味を持ったのか?」という明確な理由が説明できれば、採用担当者に意欲や熱意が伝わり「この人は事前にしっかりと調べている」「うちに入りたいんだな」と思ってくれます。
志望動機は適性を判断する材料にもなります。志望動機を見ることで、求職者がやりたいことやこれまでの経験や身につけたスキル、あるいは応募先の業種や職種をどう捉えているかといったマインドまでわかるものです。求職者が自社に貢献してくれるか、あるいは逆に自社の業務が求職者のやりたいこととマッチしているかを判断することができます。
他にも「即戦力になってくれるかどうか」「長く働いてくれるかどうか」「一緒に働きたいか(人柄)」など、志望動機を見ることでさまざまな要素を読み取ることができるため、多くの採用担当者は志望動機を非常に重視しているのです。
採用につながりやすい履歴書の志望動機の書き方
以上のとおり志望動機は履歴書の中でも非常に重要な要素です。とはいえ、自分が主張したいことをただ思いのまま書くだけでは、なかなか言いたいことが伝わりません。ここからは採用につながりやすい志望動機を書くポイントをご紹介します。
採用担当者が知りたいポイントを意識する
志望動機で採用担当者が知りたがっているのは「何を成し遂げたいのか?」「なぜ自社を選んだのか?」「自社にどのように貢献できるのか?」という3点です。成し遂げたいことを見ることで求職者の熱意や意欲を、応募先を選んだ理由を見ることで適性が、貢献できることを見ることで、必要としている能力や経験を有しているかどうかがわかります。
200~300文字程度で簡潔に伝える
志望動機はおおよそ200~300文字程度を目安にまとめましょう。短すぎるとどうしても内容が薄くなってしまい、採用担当者に意欲や熱意が伝わりにくくなってしまいかねません。とはいえ、長すぎると逆に本当に自分が伝えたいポイントがわかりにくくなってしまいます。
前項で紹介した「自分は何を成し遂げたいのか?」「なぜ応募先を選んだのか?」「応募先にどのように貢献できるのか?」をそれぞれ70~100文字程度でまとめましょう。
結論から書き出してインパクトを与える
志望動機に限らず、文章は結論を先に書くことでインパクトを与えることができます。「私が貴社を志望した理由は●●です。なぜなら……」というように、最初に結論を書き、それを補足するような文章の構成にすることで、採用担当者に言いたいことがダイレクトに伝わりやすくなります。
締めくくりで最後のひと押しを
文章には締めくくりも非常に大事となります。「●●の経験を活かして貴社に貢献したいと考えております。」というように応募先にどのように貢献できるか、あるいは「私の強みを活かして、貴社のビジョンである●●の達成を実現させます。」というような決意表明を文末に記すことで、採用担当者に対して最後のひと押しができます。
こんなイメージで志望動機を書いてみよう
以上のポイントを踏まえて、志望動機の例文を作成してみました。ぜひ参考にして志望動機を書いてみましょう。
【海外営業の求人に応募するパターン】
私は国内のクライアント向けのルート営業に7年従事してまいりましたが、好きな英語を活かしたい、海外で仕事がしてみたいと思うようになりました。海外でも高いシェアを誇り、新興国市場にも積極的に参入されている貴社において、ぜひ海外向けの新規開拓営業に従事したいと思い志望いたしました。私は米国に2年間留学した経験がございます。その間に磨いた英語力と国際感覚を活かし、全世界に貴社の製品を広め「世界シェアNo.1」を実現させたいと考えております。
【広告代理店に転職するパターン】
私は商社で広報に携わっておりますが、広告代理店の担当者と接する中でWebマーケティングに興味を持ち、自らも専門職として活躍したいと考え転職を決意しました。特に貴社はSEOやMEO、リスティング広告など多様な媒体の運用に力を入れており、業種・企業規模問わず幅広いクライアント様を支援されているため、高いスキルが身につき、社会の役に立てると考え志望いたしました。これまでの事業会社の広報担当者としての経験や視点を活かし、貴社の成長に貢献していきたいと考えております。
履歴書の志望動機でよくある質問Q&A
履歴書の志望動機を書いている際には「これでいいのだろうか」と迷うことや疑問に思うこともあるかもしれません。ここからは、私たちによく寄せられる志望動機に関する質問について、Q&A形式で回答します。
志望動機がない場合はどうすればいい?
志望動機がないからといって空欄のままにしたり適当に書いたりすると意欲がないとみなされて不採用になってしまう可能性が高いです。まずは自己分析をして自分のやりたいことや強みを見つける、志望している企業や職種あるいは業界の研究をするなどして「他にも会社は無数ある中で、なぜその会社なのか?」「なぜその仕事をしたいのか?」を考えてみましょう。
それでも志望動機が思い浮かばなかったら、そもそもその業界や会社、職種がご自身とマッチしていない可能性もあります。もう一度応募を考え直してみてもいいかもしれません。
他社との比較した分析結果を入れてもいい?
はい。他社との違いに言及することで、業界研究や企業研究をしっかりしているという印象を与えることができます。ただし、「A社と比較して貴社は……」というように具体的な社名を挙げるのはNGです。「業界の中でも特に貴社は……」というように表現しましょう。
志望する理由は「家から近いから」なのですが、正直に伝えてもいい?
実際には「家から通いやすいから」「地元だから」というのが応募先を選ぶ大きな動機になっているという方も多いです。しかし、それをそのまま志望動機として書いてしまうと、それだけでは弱い印象になってしまいます。たとえば「自分が生まれ育った地域に貢献したい」「地場産業に携わりたい」といったアプローチをすることで、熱意や意欲をアピールすることができます。
ChatGPTを使って志望動機を作成してもいい?
最近話題となっているAIチャットシステム「ChatGPT」では志望動機の文面も作成してくれます。非常に参考にはなりますが、それをそのままコピーして使うのはNGです。ChatGPTが作成する文章は一般的な内容になっており、日本語がところどころ不自然な箇所もあります。必ずオリジナルの文章を作りましょう。
ChatGPTを履歴書作成に活かす方法や注意点は、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
まとめ
数ある履歴書の中でも志望動機は非常に重要な項目であり、最重視している採用担当者も少なくありません。志望動機が採用の決め手になることもあれば、逆に志望動機だけで不採用が決定されてしまうこともあり得ますので、決して手を抜かずに作成しましょう。 志望動機で採用担当者が知りたいことをアピールできれば、採用につながる可能性が格段に高くなります。今回の記事を参考に、まずは書き方をマスターし、「自分は何を成し遂げたいのか?」「なぜ応募先を選んだのか?」「応募先にどのように貢献できるのか?」という3つの要素を盛り込んでみましょう。