
転職をしてキャリアアップを叶えていくのが当たり前になってきている今、行きあたりばったりのキャリア選択では、理想とするキャリアが描きにくくなっています。 転職先の選択次第で大きくキャリアプランが変わってくる可能性もあるため、社会人ですでに働いている方や、これから転職をしようとしている方は、本記事で紹介する内容をぜひ参考にしてキャリアプランを描いてみてください。
キャリア・キャリアアップ・キャリアプランの意味

「キャリア」は「Career」という英単語で、本来は「生涯・経歴・履歴」などの意味をもつ言葉です。主に日本でキャリアといえば、これまでの職歴、あるいは少し古い言い回しであればキャリア組(出世候補組という意味合いの言葉)、バリキャリ(プライベートよりも仕事に時間を費やすタイプの人を指すときに用いるケースが多い言葉)などのように使われています。
キャリアと同様によく使われる、「キャリアアップ」「キャリアプラン」というふたつの言葉についてもご説明します。
キャリアアップは和製英語、キャリアプランは英語でもcareer planやcareer planningなどというように使われます。キャリアアップは、昇進・年収のアップ・転職先での仕事の広がりやパートタイム労働者から正社員になることなど、幅広い領域を指す言葉として使われています。
そのため、キャリアアップについて話すときは、明確な定義付けを行なってから会話を始めましょう。
対してキャリアプランはその名の通り、キャリアの計画を立てることを指します。具体的には最終的にどんな仕事や働き方をしていたいか、そのためにはどういったスキルや経験が必要かを考え、それを実現できるような転職・昇進などをして理想に近づいていくように計画することをいいます。
これまでのキャリアプランは、30~40代での転職を最後に、あとは同じ会社で定年まで勤め上げるという考えが多かったものの、今は人生100年時代を迎えています。寿命が100歳に近づくに従って、人々が仕事に費やす期間も今より延びることが予想されます。
そのため、今後は70~80代までバリバリと働く人が増える可能性も高いです。1社に勤め上げる時代の次に転職して複数社を経験する時代が到来し、その後は70~80代までどう楽しく理想的に働いていくかを考えることが必要になってくるため、キャリアプランの難易度が非常に上がっているといえます。
キャリア形成に取り組むメリットとは?

キャリアアップやキャリアプランなどのキャリア形成に取り組むと、どのようなメリットがあるのでしょうか。代表的な4つのメリットをご説明します。
目的地ができることによって、成長速度が増す
キャリアプランを立てると、最終的に自分がどうなりたいかというゴールができます。ゴールが設定できれば近づける方法を考えるようになるため、成長速度が増すというメリットを得られます。
転職活動に有利
キャリア形成ができているとキャリア選びの軸が明確になり、筋の通った転職理由が述べられるようになるため、転職に有利です。
転職活動で重要なポイントは、「なぜ当社に今転職しなければならないのか」という質問にうまく回答できるかです。キャリア形成をしていると、最終的なゴールに向かっていくために今のペースでは間に合わない、あるいは今の職場では経験できないなどの理由で転職先を選んだという明確な理由が述べられます。そのため、志望先企業の採用担当にも納得してもらいやすいというメリットがあります。
自分が得るべきスキルや経験が明確になる
キャリア形成で目的地がわかれば、そこから逆算して「いつまでにどんなスキルや経験をつけておくべきか」が明確になります。ただ目の前に来た仕事を淡々とこなす人と、つけるべきスキルや経験が明確になっている人とでは、成長スピードに差が出てくるのは明らかです。
長いキャリアとなっていく今後を想像すると、最終的に大きな差が開いていることは容易に想像ができるのではないでしょうか。
仕事に対するモチベーションが上がる
キャリア形成によって目的地や身につけるべきスキル、経験がどちらも明確になっているので、「◯◯スキルを身につけて、いつまでにこうなる」という未来像が描けます。そのため、仕事に取り組むモチベーションも高くなります。
ここまでに挙げた4つのメリットだけでも人生に大きな影響を及ぼすことがわかります。逆にいえば、キャリア形成をしないと行きあたりばったりになり、本来の能力を活かしきれない可能性があります。
キャリアプランを考えるコツ、フレームワークを紹介
最後に、キャリアプランを考えるコツやフレームワークをご紹介します。キャリアプランを考えるコツは、下記のようなステップで行ないます。
ステップ①キャリアの棚卸しと自己分析をする
まずはこれまでのキャリアを棚卸しし、自分がどういったスキル・経験を積んできたのか、何をしたときに喜びを感じたのかなどを書き出して明確にします。
ステップ②理想の生活を思い描く
仕事や、仕事によって得た収入で実現できる、自分にとって理想の生活とは何かを具体的に思い描きます。家族あるいは1人暮らしでどのくらいの家賃のところに住んで、どんなやりがいをもって仕事をしているか。旅行はどのくらいの頻度で行き、家族がいるなら家族との時間はどのように過ごすのが理想かなど、細かく想像してください。
ステップ③必要な仕事・収入・能力を分析し、理想を実現できる仕事を明確にする
理想の想像をしたあとに、その生活を実現できるようなやりがい・働き方・収入が得られる仕事とはどんなものか、それに必要な能力とは一体何かを分析します。これで理想の生活を実現できる仕事が明確になります。
ステップ④逆算してマイルストーンをつくり、実現できるキャリアを描く
最終的なキャリアが決まってからは、そこにたどり着くためのマイルストーンを設定します。「理想の仕事に就くには、いつまでにどんなスキルや経験が必要か?」を問い、そこで出てきた仕事に対して、「その仕事に就くには、いつまでにどんなスキルや経験が必要か?」を現在の仕事にたどり着くまで繰り返します。
設定したスキルや経験を得るための勉強をどのように行なっていくか・人脈をどうつくるかなども明確にして、年・月・週・日にまで落として込んでいけば、そのキャリアプランの実現可能性をぐっと高められます。
キャリアプランを考えるフレームワーク
キャリアプランを考えるフレームワークの代表例として「Will・Can・Must」というものがあります。Willはやりたいこと、Canは今できること、Mustは(今あるいはこれからの)仕事で果たすべき責任と、物事を3つに分けて考えるフレームワークです。
先程紹介したマイルストーンで、今に一番近いもの(◯年後)をWillに設定して「Will・Can・Must」のフレームワークを使ってみてください。それぞれのマイルストーンにフレームワークを活用すると、徐々にCanが増えていってWillを叶えられるようになり、最終的なキャリアプランを達成できるようになります。
同時に、市場価値の向上=キャリアアップが叶うため、ぜひ試してみてください。
まとめ
終身雇用制度が崩壊した今は、自分自身の市場価値を上げていくことがキャリアにとって非常に重要なことになっています。寿命が長くなって働く期間が延びていくため、早めに天井を迎えてしまうようなキャリア選択は危険です。
適切な道をいつでも選べる状態にするため、自分の棚卸しをしておくこと、また業界の動向などをウォッチし、定期的にキャリアプランの見直しを行なっていくことがキャリアアップには欠かせません。
自分のキャリア、そして人生を充実したものにするためにも、今こそキャリア形成に取り組んでみてはいかがでしょうか。




