
ビジネスメールには、共通するルールがあります。
基本をしっかり守ることで、初心者でも印象のよいビジネスメールを書くことができるでしょう。
この記事では、ビジネスメールの基本ルールを例文付きで紹介します。
ビジネスメールの基本ルール
まずは、ビジネスメールの基本ルールを紹介します。
基本のフォーマット
ビジネスメールは、次の3つの要素で構成されています。
- 宛先
- 件名
- 本文
宛先
「宛先」とは、メールの送信先のことです。
次の3種類が設定可能なので、違いを理解したうえで活用しましょう。
- To:メインの宛先
- Cc:サブの宛先(宛先が他の受信者にも表示される)
- Bcc:サブの宛先(宛先が受信者に表示されない)
「To」は、メインの宛先です。処理や作業を依頼したい相手を設定します。
ツールによっては、日本語で「宛先」と表示されていることもあります。
Toに設定するのは、原則として1名のみにします。
複数名が設定されていると、「ほかの人が対応してくれるだろう」と考える人が出てくる可能性があり、責任の所在があやふやになるためです。
複数名を入れる場合は、「誰に何をしてほしいのか」という役割分担を明記しましょう。
「Cc」は、サブの宛先です。
Ccとは、「Carbon Copy(複写)」の頭文字を取ったもので、参考情報としてメールを見ておいてほしい相手を設定します。
Toと同様に、Ccに設定した相手のアドレスは、メールに一覧で表示されます。
Ccに設定された人は、原則としてメールの返信やメールに書かれている作業を行う必要はありません。
「Bcc」は、Ccと同じくサブの宛先です。
「Blind Carbon Copy(見えない複写)」の頭文字を取ったもので、Ccとの違いは、メールを送信した相手がほかの人から見えない点です。
社外の宛先が複数名含まれており、連絡先を共有したくない場合などはBccを利用しましょう。
ただし、Bccを利用したつもりがCcになっていたなどのミスも考えられるため、Bccは積極的に利用しないことをおすすめします。
件名
「件名」とは、メールのタイトルのことです。
読んでもらえるメールにするには、用件を簡潔に伝えることが大切です。
次のような具体性のないタイトルは、開封してもらえない可能性があるので避けましょう。
<悪い例>
- ご確認
- ご案内
- ご相談
- お願い
- こんにちは
- お世話になっております
このように、具体的な用件を明記するのがポイントです。
<良い例>
- 請求書のご確認のお願い
- お見積り送付のご案内
- お打ち合わせの日程に関するご相談
- 企画のご承認のお願い
タイトルが長すぎると、相手のデバイスによっては、すべて表示されないことがあるため、30文字以内にするとよいでしょう。
本文
「本文」とは、メールのメッセージ内容の部分のことです。
次のような構成にすると内容が伝わりやすくなります。
- 宛名:メールを送る相手
- 挨拶:「いつもお世話になっております」などの挨拶文
- 自己紹介:メールを送った人
- 目的:メールを送った理由や背景
- 詳細情報:詳しい内容
- 結びの挨拶:「よろしくお願いいたします」などの締めの文
- 署名:氏名や連絡先など
まずは、メールを送る相手を「社名→所属部門→役職→名前」の順で記載しましょう。
挨拶文と自己紹介も添えます。
<例>
———————————————
株式会社○○
海外営業部門
主任
xx様
いつもお世話になっております。
株式会社▲▲の●●でございます。
———————————————
次に、メールを送った目的を一言で簡潔に伝えます。
ビジネスでは「結論ファースト」を意識して、その後に詳しい内容を説明しましょう。
メッセージの最後には、結びの挨拶と署名を入れます。
署名は、メールを送信するツールで自動設定が可能です。
<例>
———————————————
お忙しいところ恐れ入りますが、何卒よろしくお願いいたします。
株式会社▲▲
商品開発部門
●●(氏名)
〒000-0000
東京都港区xxxxx
TEL:000-0000-0000(直通)
Email: xxxx@xxxxx
———————————————
覚えておきたい敬語の基本
敬語には、尊敬語・謙譲語・丁寧語の3種類があります。
尊敬語は、相手に敬意を示すときに使用します。
「おっしゃる」「召し上がる」などが尊敬語の例です。
謙譲語は、自分の行動を示すときに使用します。
「伺う」「申し上げる」のように、自分の行動を低く表現することで、相手への敬意を示します。
丁寧語は、一般的に丁寧な話し方をする際に使用します。
「です」「ます」「ございます」のほか、「お手続き」「ご案内」「ご連絡」など、「お」や「ご」を付けるのも丁寧語です。
尊敬語と謙譲語は特に混同しやすいので注意しましょう。
基本のマナー
ビジネスメールを送る際に押さえておきたい基本のマナーをまとめました。
- 返信は1営業日以内に行う
- 内容は簡潔にする
- 誤字脱字に注意する
- 添付ファイルの形式や容量を確認する
メールを受け取ったら、1営業日以内に返信しましょう。
出張などで返信が遅れる場合は、自動応答を設定しておくことをおすすめします。
また、メールを受け取った相手のことを考えて、ビジネスメールは内容を簡潔にまとめることが大切です。
結論ファーストを心がけ、20~30文字程度に一度改行すると読みやすくなります。
誤字脱字も送信前に再度チェックしましょう。
ファイルを添付する場合は、形式や容量に注意が必要です。
例えば、イラストレーターなどの専門的なソフトで作成したファイルは、相手も同じソフトを持っていないと開けないことがあります。
サイズは2M以下を目安にして、それ以上の容量になる場合はファイルの代わりにダウンロードリンクを送るなどの工夫をしましょう。
シチュエーション別の例文

ここでは、ビジネスメールのシチュエーション別の例文を紹介します。
報告
件名:Αプロジェクトの進捗のご報告
本文:
株式会社○○
生産部門
課長
xx様
いつもお世話になっております。
株式会社▲▲の●●でございます。
現在進めておりますΑプロジェクトについて、進捗状況をご報告いたします。
フェーズ1が完了し、現在はフェーズ2に移行しております。
今後のスケジュールにつきましては、添付資料をご参照ください。
引き続きよろしくお願いいたします。
(署名)
依頼
件名:サンプル送付のお願い
本文:
株式会社○○
営業部門
xx様
いつもお世話になっております。
株式会社▲▲の●●でございます。
現在、貴社の新商品であるBの導入を検討しており、サンプルを拝見したく存じます。可能でしたら、下記の宛先に□月■日までにお送りいただければ幸いです。
(サンプルの送付先)
どうぞよろしくお願いいたします。
(署名)
お礼
件名:昨夜の会食の御礼
本文:
株式会社○○
マーケティング部門
部長
xx様
いつもお世話になっております。
株式会社▲▲の●●でございます。
昨日は貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。
お食事をともにしながら、貴社の将来的な事業展開について伺うことができ、大変有意義な時間となりました。特に、□□に関する専門的な知見を交えたお話は、大変勉強になりました。
今後とも何卒よろしくお願いいたします。
(署名)
謝罪
件名:納期の遅延についてのご報告とお詫び
本文:
株式会社○○
生産部門
主任
xx様
いつもお世話になっております。
株式会社▲▲の●●でございます。
□月■日に納品予定の部品につきまして、製造機器の不具合により、遅延が発生しております。現在、不具合の解消に向けて対応を進めており、新たな納期は□月■日を予定しております。
ご希望の納期に沿うことができず、ご迷惑をおかけしておりますこと、大変申し訳ございません。今後は再発防止に尽力し、より万全な製造体制の構築を目指してまいります。
引き続き、何卒よろしくお願い申し上げます。
ビジネスメールのNG表現と改善例

最後に、ビジネスメールで使ってしまいがちなNG表現と改善例を紹介します。
一般常識として覚えておきましょう。

『知らないと恥ずかしい!?「御社」と「貴社」の使い分け徹底解説』
まとめ
ビジネスメールはお互いの顔が見えないため、対面に比べてコミュニケーションの難易度が上がります。
基本的なルールを守り、受け取った相手がどう感じるかという視点で書いてみましょう。