介護に関係する仕事として生活相談員というものがあります。その名のとおり、介護サービスの利用者やそのご家族の相談を聞くのが主な仕事ですが、それ以外にもさまざまな役割を担う、介護業界においては重要な仕事です。この記事では生活相談員の仕事内容や給料、やりがいやメリット、なり方についてご紹介します。
生活相談員とはどんな仕事?給料は?
まずは生活相談員の仕事内容や、気になる給料について見ていきましょう。
生活相談員の仕事内容
生活相談員は介護福祉施設において利用者やそのご家族からの相談に乗り、さまざまな手続きを行う仕事です。施設の窓口となり、ときにはケアマネージャーや自治体、地域社会と連携・調整し、利用者が自立した生活を送れるようサポートします。他にも施設内の連絡・調整業務、介護スタッフのサポート、苦情への対応、施設の環境整備など、業務の幅は非常に広いです。ソーシャルワーカーや支援相談員とも呼ばれますが、本記事では「生活相談員」という呼称で統一します。
介護福祉施設には生活相談員の配置が義務付けられており、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護付き有料老人ホームでは利用者100人に対して常勤生活相談員を1名以上、デイサービスでは1名以上で生活相談員もしくは介護職員のうち1名以上は常勤、短期入所生活介護施設では利用者100人以上で1人以上(うち1人は常勤)の生活相談員を配置する必要があります。
似たような職種としてケアマネージャーというものがあります。前述のとおり、生活相談員は利用者やそのご家族の相談に乗るのが主な仕事ですが、ケアマネージャーは利用者・家族と面談を行い、ケアプラン(介護サービスの内容をまとめた計画書)を作成するのが主な仕事です。
ケアマネージャーの仕事内容については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
生活相談員の給料
厚生労働省『令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果』によると、常勤の生活相談員の平均月給は338,370円、非常勤の場合は290,820円となっています。パート・アルバイトの場合、常勤者の平均時給は1,090円、非常勤者は1,120円です。
介護業界全体で見ると、常勤職員の平均月給は31万円、非常勤の場合は19万円ほどなので、介護職の中でも給料は高めといえます。
生活相談員のやりがいとメリット
介護業界ではさまざまな職種がある中で、生活相談員になることで得られるやりがいやメリットはどのようなところにあるのでしょうか?それぞれ考えてみましょう。
生活相談員のやりがい
まずは介護サービスの利用者やそのご家族、そして社会の役に立てるという点です。特に生活相談員は利用者やご家族にとっては身近な存在であり、話を聞いて寄り添い、悩みごとの解決や要望の実現を手助けできたときにやりがいを感じられるはずです。
介護職の経験を活かすことができて、レベルアップができるのも生活相談員という仕事の魅力です。利用者や家族の多様な相談ごとに対応するため、他の介護職員、施設の運営者、行政の担当者、地域社会など、さまざまな立場の人と接する機会が多いので、知識や経験が身につきます。毎日が同じことの繰り返しでないことにやりがいを感じる方も少なくありません。
生活相談員になるメリット
まず挙げられるのは夜勤がないということです。基本的に生活相談員は日勤となります。身体への負担が少なく、家庭との両立もしやすいです。
キャリアアップにつながるのも大きな魅力です。前述のとおり、生活相談員は他の介護職と比較しても給与水準は高めです。加えて生活相談員として5年以上の実務経験があれば、ケアマネージャーになることができて、さらなるキャリアアップが目指せます。管理職になった際も、生活相談員として利用者や家族、介護職員や行政などと接して、さまざまな課題を解決してきた経験はきっと生きてくるはずです。
手に職がつけられるのも生活相談員のメリットといえます。少子高齢化により今後ますます介護の需要が高まるはずです。生活相談員は幅広い介護施設・医療機関で必要とされる職種であり、資格を所有していて実務経験が豊富であれば、転職や再就職がしやすくなります。
生活相談員はどうすればなれる?どんな人が向いている?
上記のようにさまざまなやりがいやメリットがある生活相談員にはどうすればなれるのでしょうか?どんな人が向いているのでしょうか?ここからは生活相談員になるための要件と適性について見ていきましょう。
生活相談員になるためには?
生活相談員になるための要件は自治体ごとに異なります。たとえば東京都では「社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者、もしくはこれと同等以上の能力を有すると認められる者」が要件です。具体的には社会福祉士、精神保健福祉士、三科目主事のいずれかがに該当する人か、それと同等以上の能力がある人が対象となります。他の自治体でも同様に資格や実務経験が求められます。
介護施設に入職して経験を積みながら必要な資格を取得してステップアップしていくというのが、生活相談員になるまでの一般的な流れとなります。
生活相談員に向いている人とは?
まず生活相談員に求められる資質として挙げられるのがコミュニケーション能力です。利用者やご家族の話を聞いて、「どんなことに困っているのか?」「どんなことを求めているのか?」を把握しなければなりません。人と話すことが好きな方、話を引き出して聞くのが好きな方が向いています。
また、他の介護職員や行政の担当者、地域住民など、さまざまな人と連携しながら利用者が自立した生活を送れるようサポートするのが生活相談員の役割です。コミュニケーション能力に加えて調整能力も必須のスキルです。協調性に自信がある方、多くの人と協力して物事を進めていくことが得意な方も向いているといえます。
何よりも大切なのは「人や社会の役に立ちたい」という気持ちです。生活相談員のもとには日々さまざまな相談ごとが寄せられ、それに対応していかなければなりません。それ以外にも手続きや施設運営など、幅広い業務があります。ときには大変だと感じることもあるかもしれません。しかし、それ以上に利用者やご家族の役に立ちたいという想いがある方、地域社会に貢献できることに対してやりがいを感じる方であれば、生活相談員の適性があるといえます。
まとめ
介護サービスの利用者やそのご家族と、ケアマネージャーをはじめとした介護職員、施設、行政や地域社会をつなぐ橋渡し役となる存在。それが生活相談員です。日々さまざまな相談ごとが寄せられ、関係者と話し合いをしながら調整して対応していかなければならないため、大変に思うこともあるかもしれません。しかし、それだけに利用者やご家族、施設、地域社会に貢献できる、やりがいのある仕事です。
また、さまざまな知見が身につき相談業務だけではなく調整や手続き、施設運営など幅広い業務に携わることができるため、生活相談員として経験を積むことで、ケアマネージャーや施設長などの管理職へのステップアップも可能です。夜勤もなく、給料がアップする可能性もあります。特に今介護の仕事をされている方は、まずは生活相談員を目指してみてはいかがでしょうか?
なお、要件は都道府県や市区町村によって異なりますので、まずはお住まいの地域や就業を予定している地域の自治体の要件を調べてみましょう。
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