
奥様の楽しみを生み出すためにも、北海道にUターン転職を。
奥様の楽しみを生み出すためにも、北海道にUターン転職を。
キレイに整えられたヒゲと低く通る声。池尻さんは、ダンディという言葉が実に似合う雰囲気です。出身は札幌市。大学卒業後、LNG(液化天然ガス)プラントや石油化学プラント、医薬品製造工場といった超大型施設を手がける神奈川県の建設会社に就職しました。
「テーマパークの設計・建設といったユニークな経験もさせてもらった後、ダイオキシンの低減に対応した環境プラントの仕事に携わりました。このプロジェクトをきっかけに、環境やバイオマスにのめり込むようになったんです。ちなみに、とある大型案件の受注にあたり、願掛けとしてヒゲを伸ばしました。以来、剃るタイミングも失っちゃって(笑)」
池尻さんは環境の仕事を突き詰めたくなり、ゴミの固形燃料発電施設や廃棄物処理プラントを建設する会社に転職。人やモノ、お金、品質、スケジュールなどを管理するプロジェクトマネージャーとして働きました。
「約20年間にわたりゴミ処理プラントの仕事に関わり、さらに最大規模の施設が稼働を迎えたことで、『やり切った』という感情が胸にこみ上げました。そのころから、地震やゲリラ豪雨といった自然災害のリスクも高い関東に暮らし続けることに疑問を抱くようになったんです」
実は池尻さんの奥様も北海道出身。両親の介護が気になるようになったことに加え、「友人がほぼいない土地で、長く過ごさせてしまったことに胸が痛むようにもなりました」と苦笑します。北海道に帰ろう。2021年、池尻さんは決意を固めました。
「Uターン転職にあたっては、かなりワガママな条件を課しました。私の経験を北海道らしい一次産業に生かせること。道内に本社があり、意思決定がスピーディなこと。何より妻の楽しみを生み出せること。そのすべてを叶えられるのが、コーンズ・エージーだったわけです」

社長室の扉が開いていたら、すかさず相談を持ちかけてもOK!
社長室の扉が開いていたら、すかさず相談を持ちかけてもOK!
池尻さんが配属されたのは、これまで多くのゴミ処理プラントを作り上げてきたプロジェクトマネージャーの手腕を、一次産業に発揮できるバイオガスグループ。牛の糞尿を処理することで臭気をバイオガス発電に転用したり、発酵した消化液を臭いの少ない堆肥に活用できたりするプラントの建設を担います。
「当社のビッグスターは搾乳ロボ。だけど、バイオガスプラントはそれに次ぐニーズが見込める『金の卵』と経営陣からも期待が寄せられている分野です」
ということは、転職後もバリバリ提案を…と思いきや、池尻さんは仕事の7割を既存プラントのメンテナンス計画や事業基盤の再構築、組織の整備に使っているといいます。一体どうして?
「当社はバイオガスプラントの実績を57軒も有しています。一方、現状を俯瞰してみるとトラブルや発電エンジンの故障といった対応に追われがち。新規のご提案に踏み出す以前に、メンテナンスの体制を整えるのが先決だと経営陣に率直に伝えました」
大企業では各部門長や役員への稟議と承認を繰り返し、アイデアが実現するまでに長い期間を要するのが一般的。けれど、コーンズ・エージーはスピード感が段違いだそうです。
「社長室の扉が開いていたら、『少しよろしいですか?』とコミュニケーションがすぐにとれます。意思疎通から意思決定の速度は思い描いていた通りです」
コーンズ・エージーはバイオガスプラントのみならず、牛舎や搾乳ロボ、牧草を刈り取る機械など、酪農にまつわる一連の課題に対する解決プランを導ける企業。池尻さんは単なる輸入商社では味わえないダイナミックな手応えがあると表情を引き締めます。
「しかも、酪農家さんと直接やり取りし、意向を汲み取った上でソリューションを提供できます。その貢献性の高さもグッとくる魅力ですね」

妻と愛犬をクルマに乗せて、釣りやカヌーを楽しむのが活力。
妻と愛犬をクルマに乗せて、釣りやカヌーを楽しむのが活力。
池尻さんの口調は終始穏やか。プロジェクトマネージャーの経験値が高いことも加え、業務を難なくこなしているように思えましたが、「そんなこともないですよ」と微笑みます。
「私の配属されたグループはメンバーが若く、方針に添って動いてくれる素直な部下ばかりです。一方、バイオガスのテクニカルな部分については、自分自身が専門知識を持ち合わせていないため、詳しい人を探しながら若手と一緒に知識を吸収していかなければなりません。幸い、最近になって第一人者のベテランが加入したことで、専門性がグンと高まっていく予感を抱いています」
これまで池尻さんが勤めてきたのは「建設」や「工事」を主軸とする会社。対してコーンズ・エージーは「商社」をスタート地点とするため、システムそのものがプラントの積算や管理に向いていないのだとか。
「こうした仕組みづくりや工事のガイドラインに、私の経験を取り入れてルール化するのもミッションの一つ。過去のプラントデータも体系的にまとまっているワケではないので、今のところは不器用かつ手探りで仕事を進めています。今後は情報を集積し、業務効率を高めるのも課題です」
とはいえ、池尻さんは仕事に夢中になることが楽しいと思えるタイプ。土日には奥様や愛犬とクルマを走らせ、カヌーを楽しむ北海道らしい時間が活力になっています。
「妻が高校時代の友人と出かけまくっているのも、私からするとUターン転職の理想的な姿。北海道に戻ってきて本当に良かったと思えます」
満面の笑みを見せる池尻さんを目の当たりにすると、転職がより幸せな暮らしにつながったことがよく分かります。最後に…今、抱えている課題が解決したら、願掛けだったヒゲを伸ばすのはやめるのですか?
「う〜ん、ヒゲのグルーミングが楽しいですし、手入れの時間に男のダンディズムを感じるので…恐らく剃りません(笑)」
※インタビュー・撮影・ライティングは外部取材チームが担当。記事の掲載内容は取材時点の情報です。

お客様にバイオガスプラントの仕組みを
説明する池尻さん。

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奥様と愛犬と一緒に北海道の
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