思うように結果が出せない時期に、社長がかけてくれた言葉。
思うように結果が出せない時期に、社長がかけてくれた言葉。
大西さんは札幌市生まれ。家庭の事情でほどなく標津町、そして中標津町へと移りました。高校卒業後は札幌市に戻って職を転々としたと振り返ります。
「結婚を機に安定的な仕事に就こうと意識が変わり、事務機器の営業マンとして働きました。3年くらいが経ったころ、中標津に一人残してきた母が気がかりになり、Uターンすることを決めたんです」
実は、大西さんの母方のご実家が酪農を営んでいるのだとか。コーンズ・エージーの前身である日新農機株式会社の時代から取り引きがあり、会社のことはおぼろげに知っていたといいます。
「ただ、たまたま求人を目にして何となく入社したのが正直なところ(笑)。今の時代とは異なり、就職や転職に関する情報が豊富ではなかったので…」
コーンズ・エージーではサービスエンジニアを経験し、製品やテクニカルな知識を得た後に営業職にシフトするケースが大半。けれど、大西さんの場合はまだまだ教育体制が整っていなかった時代に入社したこともあり、2週間後には地区担当としてお客様先に向かうことになったと苦笑します。
「当時は酪農業界全体が生乳の生産量を抑制しなければならなかったことも重なり、5年間はなかなか売れない時期が続きました。結果を出せないにもかかわらず、社長は僕の名前や顔を覚えて声をかけてくれましたし、『自信を持って説明できる得意分野を見つけなさい』とアドバイスしてくれたんです。社員一人ひとりを大切にしてくれるこの会社に報いたい、と強く思ったのが腐らずに頑張り続けられた大きな要因だと思います」
その後、搾乳ロボットの講習を受けたことを契機に、大西さんは社長の助言通りそれを「得意分野」にすることができました。お客様に自信を持って製品について説明し、導入後に喜ばれるという成功体験がモチベーションをさらに押し上げてくれたと笑います。
先進的な機械をいち早く導入し、市場を切り拓くという面白さ。
先進的な機械をいち早く導入し、市場を切り拓くという面白さ。
コーンズ・エージーの営業職は、お客様の抱えている課題や困っていることを吸い上げ、製品の導入後にどのようなビジョンが描けるのか伝えるのが大きな役割。時には、お客様を既存顧客のもとへと視察にお連れすることもあります。その上で、搾乳ロボットや除糞装置、ミルキングパーラー(搾乳施設)などを総合提案する「プロジェクト」を長い時間をかけてお客様とともにつくりあげていきます。
「当社は昔から他社の二番煎じに甘んじず、日本の酪農業界に初めての製品を導入する開拓精神にあふれています。例えば、今でこそ一般的なロールベーラー(牧草ロールを作る機械)も、国内ではコーンズ・エージーが先駆者。牛のエサを寄せるロボットも、当初は必要とされるか不安でしたが、お客様にとっては重労働から開放されるメリットがあります。こうした先進的な機械で市場を創造するチャンスにあふれているのも営業職の魅力です」
コーンズ・エージーは中途社員にもチャンスが平等に与えられる会社。大西さんは仕事の面白みにも後押しされ、着実に結果を出しながら、7年目に主任、9年目に係長、14年目には30代で支店長へとステップアップしました。
「僕は主任になるまでに時間がかかりましたが、早い人なら最短1年で昇格することも。当社は道内企業と比べて給与水準が高く、社員に還元してくれることはもちろん、実績をきちんと評価してくれるところも向上心をくすぐられます。自分が会社を変えたいと思っても、実行権があり、責任を負える立場でなければトライすらできません。帯広支店のメンバーには、その有意性を伝えています」
大西さんとほぼ同じタイミングで同じようにステップアップしたのが標茶支店の支店長。中標津支店時代には同じ営業職で、社歴は少しだけ先輩なのだそうです。「ライバルであり、戦友ともいえる良い関係です。とある会で社長から『取締役になりたい人は?』と聞かれた時に僕と彼だけが手を挙げたことをよく覚えています(笑)」
各チームで新人を教育しつつも、縦割りにならない工夫を。
各チームで新人を教育しつつも、縦割りにならない工夫を。
大西さんは中標津支店で3年ほど支店長を務め、2021年10月に帯広支店に異動しました。
「これまで中標津エリアしか経験したことがなかったので、少しでも早いうちに他拠点のことを知ってみたかったんです」
支店長の役割は数字や労務の管理、部下の評価、働き方の改善など多種多彩。コーンズ・エージーは、こうした支店運営を支店長の裁量のもとある程度任せてくれるため、大西さんは帯広支店の教育体制を目線でも鍛えています。
「例えば、同じサービスエンジニアという仕事でも搾乳ロボットに長けている人もいれば、バルククーラー(搾乳した生乳を保存するためのタンク)に詳しい人もいるなど、それぞれ専門性の高い分野があります。こうした部門ごとのリーダーに新人教育を任せる一方、縦割りにならないよう隣のチームが何を扱っているのか知ることも大切です。帯広支店では機械を搬入する際には部門に関わらず手伝いにいくなど、幅広い製品知識を吸収できるように工夫しています」
サービスエンジニアはお客様のSOSに応える当番の日があり、帯広支店の搾乳ロボットチームは24時間で現場をサポートするシフト制を試しているところ。大西さんは、その負担を減らしながらもやりがいが得られる仕組みづくりについて会社に提案するなど、労務管理の面でも発信を怠りません。
「すべての人がキャリア志向ではないですし、役職者を目指さずに淡々と仕事をこなすことも否定はしません。そのことを重々承知した上で、帯広支店のメンバーには少しでも上のポジションを目指してほしいと考えています。営業職の時代とは異なり、今のやりがいは一緒に働く一人ひとりが会社から評価され、1円でも給与をアップさせられること…それはお客様への貢献・お客様からの評価と必ず結びついていますからね」
大西さんは教育体制がままなっていなかった時代を過ごし、若手のころを「赤字社員」と厳しく自己評価します。その苦しい道を後進たちには歩ませたくないという思いが、全員で右肩上がりを目指すスタイルの原動力なのでしょう。
※インタビュー・撮影・ライティングは外部取材チームが担当。記事の掲載内容は取材時点の情報です。
支店のメンバーと定期的に面談し、
目標設定や業務進捗を確認。
大西さんは支店長となった現在でも営業を
兼務するプレイングマネージャー。
まだリニューアルして数年の帯広支店。
外観も内観もスタイリッシュ。