「ドライバーの仕事って、何歳まで続けられるのだろう」
年齢を重ねるにつれて、体力の衰えや健康面の不安を感じ、そろそろ限界かもしれないと考え始める人も少なくありません。特に運送業は体を使う仕事のイメージが強く、「若い人向けの仕事なのでは」「高齢になると採用されにくいのでは」といった不安を抱きやすい分野でもあります。一方で、実際の現場を見てみると、50代・60代で活躍しているドライバーも多く、年齢だけで一律に線を引ける仕事ではないのが現実です。大切なのは何歳かよりも、どんな働き方を選んでいるかという点にあります。
この記事では、ドライバーが年齢の限界を感じやすい理由や年齢を重ねても続けやすいドライバーの仕事の種類などを紹介します。

配送ドライバーは何歳まで働けるのか?

法律上の年齢制限はない

ドライバーとして働く上で、「法律で何歳まで」という明確な年齢制限は基本的にありません。運送会社で働くトラックドライバーやバス運転手などの場合、企業ごとに定年や再雇用の仕組みが設けられていることが多く、法制度として直接的な年齢制限はないというのが現状です。一般的に企業が設定する定年は60歳以上とする必要があり、この基準は高年齢者雇用安定法によって定められています。つまり、会社は定年年齢を60歳未満にすることはできませんが、その後も希望者に対して継続雇用制度を利用して65歳まで、あるいはさらに努力義務として70歳までの継続を進めるケースもあります。これは運送会社側が高齢者の労働力を確保したいという背景もあり、高齢ドライバーが働き続けやすい環境づくりが進んでいるためです。健康状態や運転適性のチェックは依然として重要ですが、法律上では年齢だけで働けなくなるという制限はありません。

実際に多い年齢層と平均年齢

実際にドライバーとして働いている人の年齢構成を見ると、若年層よりも中高年が圧倒的に多いという特徴があります。国土交通省や関連調査によると、トラックドライバーの年齢層では40歳〜49歳の割合が最も高く、次いで50歳〜59歳という構成になっています。若年層は全体の一割に満たず、働き手の中心は40代〜50代という状況です。さらに平均年齢についても、中小型トラックで45〜47歳、大型トラックでは約48〜49歳といったデータがあり、全産業平均年齢よりも高い傾向が続いています。これは、若い人が他業種へ流れる一方で、経験を積んだ中高年層が業界を支えている状況を示しています。また、60代以上でも嘱託やパートとして働き続ける人が一定数いるため、「40代〜60代が多い」という現状が業界全体の実情です。

何歳までは会社と職種で違う

何歳まで働けるかは、働く会社や契約形態、職種によって大きく違ってきます。まず会社規模ですが、大手運送会社では定年後の再雇用や継続雇用制度が比較的整っているケースが多く、健康状態や希望があれば65歳、さらに努力義務として70歳まで働ける場合もあります。一方で中小企業では規模や仕事量に応じて柔軟に対応しているところもあれば、制度が整っていないところもあり、実際の年齢制限は会社ごとの差が出やすいです。契約形態でも違いが出ます。正社員の場合は定年・継続雇用制度に基づいて働き方が決まりますが、業務委託やアルバイト、パートといった契約であれば、定年という概念自体がなく、企業と合意すれば高齢でも働き続けられる場合があります。また、配送の種類や距離によっても体力負担が変わるため、長距離の大型トラックと近距離のルート配送・軽貨物では同じ年齢でも体への負担や継続性に差が生じます。このように、年齢の限界は一律ではなく、働き方や職種、会社の制度次第で大きく変わるという点は押さえておきたいポイントです。

運送業に年齢の限界を感じやすい理由

体力・健康面の負担

運送業で年齢の限界を感じやすい一番の理由は、体力と健康への負担が積み重なりやすいことです。たとえば腰や肩。長時間の運転は、同じ座り姿勢で体が固定されやすく、さらに車両の振動が腰部への負担になり得るとされています。厚生労働省の資料でも、長時間運転による座位姿勢の拘束や全身振動が腰痛リスクになり得る点が示されています。 加えて、積み下ろしや手荷役がある現場では、運転だけでなく「持つ・運ぶ・ひねる」動作が入り、腰や肩に負担がかかりやすくなります。

もう一つ見落とせないのが睡眠です。長距離や夜勤が中心の働き方だと、生活リズムが崩れやすく、回復が追いつかない日が増えがちです。国土交通省の資料でも、睡眠不足による日中の眠気がヒューマンエラーにつながり、睡眠時間が短いほど居眠り運転の頻度が高いといった指摘があります。 若い頃は寝れば回復するで乗り切れても、年齢を重ねると回復に時間がかかり、腰・肩・睡眠の問題が同時に表面化しやすくなります。だからこそ、年齢の問題というより、負担が大きい働き方を続けるほど「限界」を感じやすい、という捉え方が現実に近いです。

視力・反射神経・集中力の変化

運送業では、加齢そのものよりも「安全に運転できているか」を自分で強く意識するようになることで、限界を感じやすくなります。代表的なのが視力です。昼間は問題なくても、夜間や雨天、対向車のライトが重なる場面では見え方が変わり、疲労とセットで不安が出やすくなります。さらに、標識・歩行者・車線変更など、瞬間的な判断が必要な場面では、反応の遅れを自覚しやすいのもこの仕事の特徴です。

中高齢者は運転中の情報に対する反応時間が若年者より長くなる傾向が報告されており、年齢要因が視認・応答性に影響し得ることが示されています。 こうした変化は「運転ができない」という意味ではなく、本人がリスクを敏感に捉えやすくなる、ということです。たとえば、合流や右折待ちでの判断、歩行者の飛び出しの想定、渋滞中の車間維持など、気を張る時間が長いほど集中力を消耗します。結果として、以前より疲れやすい、ヒヤッとする場面が気になる、といった感覚が積み上がり、「年齢的にきついかも」という実感につながりやすくなります。ここは根性論で押し切るより、運転負荷が低い仕事や時間帯へ寄せることで、負担を現実的に下げられる領域でもあります。

働き方が若い頃と同じ前提になっている

運送業で年齢の限界を感じやすい背景には、業界の働き方が「若い頃の体力」を前提に組まれてしまう場面があることも大きいです。特に長距離・夜勤中心の構造では、拘束時間が長くなりやすく、休息の取り方も不規則になりがちです。国土交通省・厚生労働省が共同で行った調査でも、トラック輸送では労働時間の内訳に手待ち時間などが含まれ、長時間労働の実態把握と改善が課題として扱われています。

さらに、改善基準告示では拘束時間や休息期間などの基準が定められており、現場では「ルールを守りつつ回す」こと自体が簡単ではないケースも出てきます。 ここで起きやすいのが、「仕事量は同じなのに体の回復力だけ落ちる」というズレです。若い頃の感覚で長距離や夜勤を続けると、睡眠負債が溜まり、腰や肩の痛みが抜けにくくなり、結果として集中力にも影響します。つまり年齢が問題というより、負担が高い前提の働き方を変えないままだと、限界が早く来やすいということです。逆に言えば、地場配送やルート、日勤中心など回復できる設計の仕事に寄せるだけで、同じ年齢でも続けやすさは大きく変わります。

【年齢別】ドライバーの働きやすさ目安

30代・40代|まだ無理がきく時期

30代・40代は多くのドライバーにとって、体力面でも収入面でも「働きやすさ」を感じやすい時期です。この年代は一般的に体力の回復力もあり、長距離や夜勤が中心の仕事にも対応しやすい傾向があります。実際、トラックドライバーの年齢構成でも40代が最も多く、次いで50代が続いているというデータがあり、この世代が現場を支えていることがわかります。また、収入面でも経験やスキルが給与や手当へ反映されやすいのも特徴です。大型免許やフォークリフト免許など資格を持っていると、より高収入の案件につながる可能性も高まります。

この時期は将来のキャリア形成を考える重要な時期でもあります。先々の体力や健康を見据えて働き方の選択肢を広げたいと感じる人も増え、単に「稼ぐ」だけでなく「無理なく続けられる働き方」を意識する人も出てきます。このように、30代・40代はまだ柔軟性があり、体力的にも無理がきく一方で、将来の軸をつくる時期でもあるため、収入重視・スキルアップ・体への負担をどう抑えるかのバランスを意識するのが大切な時期です。

50代|分岐点になりやすい時期

50代になると、これまで通りの働き方が負担になってきたと感じる人が増えてきます。長年の運転や積み下ろしなどの仕事が体に蓄積し、腰痛や肩こり、目の疲れなどの症状を自覚するケースも少なくありません。長時間労働や夜勤が中心のルートだと、睡眠リズムが崩れやすく、体調を崩すリスクも高まります。実際、労働安全衛生の観点からも中高年者の健康管理と負担軽減の重要性が指摘されており、50代を境に仕事のスタイルを見直す人が増えています。

また、家族や将来の生活設計を考える年齢でもあり、体調だけでなく家庭との両立や定年後の生活資金など、仕事選びの軸が変わりやすい時期です。このため、「今の働き方を続けるべきか」「別の職種や働き方にシフトするべきか」といった選択が自然と出てくるのが50代の特徴です。つまり、50代は体調や将来への意識が強くなる時期であり、分岐点として働き方を再検討するタイミングともいえます。転職エージェントや職場の上司と相談しながら、無理なく継続できる働き方を模索することが重要です。

60代以降|働き方を選べば続けられる

60代以降は、年齢とともに体力や回復力が落ちてくるのを実感する方が多い一方で、働き方次第ではドライバーとして無理なく続けられる時期でもあります。まず注目したいのが、短距離や地場配送、日勤中心の働き方です。こうした業務は長距離や夜勤のような負担が少なく、体への負担を抑えながら働けるケースが多いとされています。また、軽貨物や小型トラックの配送は運転の負担が比較的少なく、中高年以降でも取り組みやすい仕事として選ばれています。

実際、厚生労働省の高年齢者雇用に関するガイドラインでも、高年齢者がその能力を活かしながら働き続けられるように、労働時間や作業内容の工夫、休息時間の確保が推奨されています。このため、希望すれば継続雇用制度を利用しながら60代でも働き続ける人も珍しくありません。もちろん健康状態や働き方への適性は個人差がありますが、仕事内容や時間帯を自分の体力やライフスタイルに合わせて選べる環境が増えている点は心強いポイントです。こうした選択肢を意識することで、60代以降も安心して働き続けやすくなります。

年齢が高くても続けやすいドライバーの仕事

ルート配送・地場配送

年齢が高くなっても続けやすい仕事の代表が、ルート配送や地場配送です。特徴は、長距離のように何時間も運転し続ける形になりにくく、走行距離が比較的短い案件が多いことです。その分、休憩を取りやすく、身体への負担が抑えやすいと言われています。さらに、地場配送は同じ地域内の配送が中心で、毎日ほぼ同じルートを走るケースも多いため、道を覚えるストレスや「初めての場所に行く緊張感」が減り、精神的な疲れも軽くなりやすいです。

また、配送先が固定されると、納品のルールや荷受けの流れがルーティン化しやすく、「迷う」「待つ」「段取りが崩れる」といった消耗が起きにくいのもポイントです。一方で、ルート配送でも荷物が重いケースや早朝スタートで拘束が長いケースはあり得るので、応募時は「配送距離」だけでなく、荷姿(重いか・手積み手降ろしか)や出勤時間、休憩の取りやすさまでセットで確認するのが安心です。

軽貨物・小型トラック

軽貨物(軽バンなど)や小型トラックの仕事も、年齢が高い方に選ばれやすい選択肢です。軽貨物運送(貨物軽自動車運送事業)は、軽自動車を使って小口の荷物を運ぶ形が中心で、地域内配送になりやすい点が特徴として挙げられています。大型トラックに比べて車両が小さいため、住宅街や狭い道でも動きやすく、取り回しのストレスが少ないと感じる人もいます。

ただし「軽い車=必ず楽」とは限りません。宅配系の案件では件数が多くなることがあり、階段の上り下りや歩く距離が増えると、別の意味で体力を使う場合もあります。軽貨物は業務委託の働き方も多く、収入の仕組み(出来高か固定か)や稼働日数、繁忙期の負荷が変わりやすい点も知っておくと安心です。

そのうえで、企業配や定期便など、配達先や時間が比較的読みやすい案件を選べると、体力面も生活面も整えやすくなります。

日勤中心・短時間勤務

年齢が高くなるほど「仕事内容」だけでなく「時間帯」が働きやすさを大きく左右します。日勤中心の勤務は、夜勤と比べて睡眠リズムを崩しにくく、家族との時間や通院・検診の予定も組みやすいのがメリットです。実際、日勤ドライバーは早朝に出発して夕方には帰社できるなど、生活リズムを作りやすい例も紹介されています。

また、短時間勤務や勤務日数を抑えた働き方(パート・アルバイト、嘱託など)を選べる職場もあり、「フルタイムは不安だけど、運転の仕事は続けたい」という人にとって現実的な選択肢になります。時間の負担を減らすことは、そのまま疲労の蓄積を抑え、結果的に安全運転にもつながりやすい考え方です。なお、運送業界では長時間労働の実態や手待ち(荷待ち)などが課題として調査・整理されているため、「日勤」と書かれていても拘束が長くなる場合があります。応募時は、始業・終業の目安に加えて、待機時間の発生しやすさや休憩の取り方まで確認しておくとミスマッチを減らせます。

まとめ

ドライバーの仕事は、「何歳まで」と年齢だけで区切れるものではありません。実際には、限界を決めているのは年齢そのものではなく、体力や健康状態、そしてどんな働き方を選んでいるかという点です。長距離や夜勤中心の働き方を続けていれば負担は大きくなりやすくなりますが、ルート配送や地場配送、日勤中心などに切り替えることで、同じ年齢でも無理なく続けられるケースは多くあります。

大切なのは、「もう無理かもしれない」と一人で抱え込むのではなく、自分に合った形へ少しずつ調整していくことです。年齢を理由に可能性を閉じてしまう前に、働き方の選択肢を知っておくだけでも、気持ちはずいぶん楽になります。

もし不安があるなら、年齢不問・日勤中心などのドライバー求人を一度チェックしてみたり、相談だけでもOKなサービスを活用してみるのもひとつの方法です。今の自分に合う働き方を探すことが、長く安心して続けるための第一歩になります。