
社員が新しく会社に入る際にはさまざまな手続きが必要で、用意しなければならない書類も数多くあります。そこで、今回は入社手続きと必要書類を一覧形式でご紹介します。新卒と転職では若干異なるので、その点についてもご説明します。
入社時に行なう手続き
まずは社員が新しく会社に入る際の手続きについてご説明します。主に以下の4点が必要です。
雇用契約の締結
社員は会社と雇用契約という契約を結ぶことになります。これは法律で義務付けられていて、お互いが契約の内容(労働契約の期間や就業場所、業務内容など)に合意して、はじめて雇用関係が成り立ちます。一般的に「労働条件通知書」に労働条件などが記載されていて、「雇用契約書」に新入社員と企業が署名押印します。これらの書類については後ほど詳しくご説明します。
各種保険手続き(社会保険・雇用保険など)
社員が入社する際には、社会保険(健康保険や厚生年金保険)、雇用保険、労災保険などにも加入することになります。この手続きも入社時に行ないます。特に「健康保険・厚生年金被保険者資格取得届」は入社してから5日以内に提出しなければなりません。一般的にこの手続きは会社が行ってくれますが、手続きの際には「年金手帳」が必要となります。
なお、社会保険料や雇用保険料は会社と折半になります。半額は会社が支払ってくれて、半額は給料から差し引かれます。
税金関連の手続き
社会人になり給料をもらうようになったら所得税と住民税という税金を支払わなければなりません。入社時には、税金に関する手続きも行ないます。
所得税の手続きに関しては「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」という書類を記入して会社に提出します。転職の場合は「給与所得等の源泉徴収票」も必要です。給料が発生する月の翌月10日までに手続きを行なう必要があります。住民税は新卒の場合は特に手続きは不要です。
社内手続き
そのほかにも入社する会社によって手続きが必要な場合があります。たとえば、雇用契約書とは別に入社誓約書の提出を求められるケースがあります。ほかにも健康診断書や従業員調書(家族の連絡先などを記載する書類)などの提出が求められることもあります。社員寮や社宅に入る場合は、その手続きも必要となります。会社によって異なるので、しっかりと聞いて抜け・漏れがないようにしましょう
入社時に必要な書類

ここからは入社時に必要となる書類について見ていきましょう。「どの会社でも必要となるもの」と「会社によっては必要になるもの」に分けてご紹介します。
基本的にどの会社でも必要となるもの
・雇用契約書
先ほどもご説明したとおり、企業と従業員が雇用契約を結ぶ際には雇用契約書が必要となります。これに署名押印することで契約が成立します。
・労働条件通知書
労働条件(契約期間や賃金、業務内容など)が記載された書類です。上記の雇用契約書と一体化された「労働条件通知書兼雇用契約書」という形態をとっている会社もあります。
・年金手帳
年金手帳とは、公的年金制度(国民年金、厚生年金、船員保険)の加入者に交付される手帳のことで、基礎年金番号などの情報が記載されます。会社によっては、会社が年金手帳を預かる場合もあります。もしなくしてしまった場合は、年金事務所で再発行してもらう必要があります。
ちなみに年金手帳は2022年4月に廃止され、それ以降に20歳になった方、10代で就職された方には交付されません。その代わり、「基礎年金番号通知書」というものが発行されます。
・雇用保険被保険者証(転職者のみ)
転職する場合は、雇用保険を前職から引き継ぐために、雇用保険被保険者証が必要になります。退職時にもらえるので、それを転職先に提出します。
・源泉徴収票(転職者のみ)
こちらも転職の方のみになります。転職先で年末調整をしてもらう際、あるいはご自身で確定申告を行なう際に必要です。
・扶養控除等申告書
こちらは新卒・転職者共通です。扶養家族の有無などを記載します。これをもとに所得税額が決定されます。
・健康保険被扶養者異動届
社会保険加入対象者で、健康保険の扶養となっている家族がいる場合は提出します。
・給与振込先の届書
給料を振り込んでもらう銀行口座名や口座番号を記載します。これがないと給料を受け取ることができません。会社によっては銀行名や口座名が記載されている通帳のページのコピーを求められることがあります。
・マイナンバー
社会保障や税金などの手続きの際にはマイナンバーの記載が必須となります。マイナンバーカードや通知カードの写しを提出する、マイナンバーを申告するなど、会社によって異なります。
会社によって必要となるもの
・入社誓約書
入社誓約書は、内定者が入社の意思や会社の規則を守ることを表明する書類です。義務ではありませんが、会社が入社の意思があるかどうかを確認するために提出を求めることがあります。
・身元保証書
身元保証書とは、社員が重大な問題を起こして会社に損害を与えた際に、本人とともに保証人が賠償責任を負うということを記した書類です。こうして見ると「怖い」「信用されていない」と感じるかもしれませんが、実際は損害賠償をさせるというよりも問題を起こさないという意識付けを目的として提出させるケースが多いようです。
銀行などの信用が重視される業種・企業では、提出を求められることがあります。保証人は一般的には両親や配偶者、祖父母などの親族を選ぶケースが多いようです。
・従業員調書
従業員調書は、従業員本人やその家族の情報を記載する書類です。履歴書で代用されるケースもあります。
・住民票記載事項証明書
いわゆる住民票の写しです。社員の現住所を確認するために提出します。最近では個人情報保護の観点から提出を求めない企業も増えているようです。
・免許や資格に関係する書類
業務を行なうにあたって免許や資格が必要な場合に求められる可能性があります。
・卒業証明書(新卒の場合)
大学などの学校を本当に卒業しているかを証明するための書類です。学校で発行してもらえます。
・成績証明書(新卒の場合)
大学などの学校で履修した講義名と成績が記されている書類です。こちらも学校で発行してもらえます。成績そのものを見るというよりは、「必要な単位をしっかり取っているか」「面接や履歴書の経歴が合っているか」を見るケースが多いようです。
・健康診断書
健康診断の際にもらえる書類で、身長、体重、視力、聴力、尿検査や血液検査の結果、既往歴などが記されています。労働安全衛生法では入社時に健康診断を行なうことが義務付けられていますが、その代わりとして過去に行った健康診断書の提出を求められることもあります。
・退職証明書(転職の場合)
従業員が退職をしたことを証明する書類です。失業給付や健康保険の手続きなどで使うことができます。前の職場で発行してもらうことが可能です。
入社時の手続き・書類Q&A

ここからは、入社時の手続きや提出書類に関してみなさんが疑問に思いがちなことをQ&A形式で回答します。
Q:印鑑は実印を用意すべき?
A:特に指定がない場合は実印でなくてもかまいません。多くの場合、認印で事足ります。社会人になるとはんこを押す機会も多いので、1本認印を用意しておくことをおすすめします。安いものでは100円程度で購入可能です。
Q:もし提出が間に合わなかったらどうなる?
A:法的な手続きが遅れて入社に支障が出る可能性があります。もっとも企業側は確実に間に合うよう逆算して書類の提出スケジュールを定めていることが多く、該当書類がなくても代用できるケース(たとえばマイナンバーがなくても住民票で代用できるなど)もあり、直ちに働けなくなるようなことはそれほど多くありません。とはいえ、書類を紛失したり用意できない状態にあったりした場合は、その旨をしっかりと内定先に相談しましょう。
Q:わからないことは問い合わせてもいいの?
A:はい。むしろ内定先の担当者にとってはわからないことを放置されたまま手続きができない、書類が提出されないといった事態になるほうが困りますので、わからないことがあれば問い合わせをしましょう。
まとめ
スムーズに入社して仕事をはじめるためには、必要書類を前もって揃えておくことが大切です。余裕があれば書類を役所や前職場などで再発行してもらうなどの手段をとることができます。
今回、多くの手続きや必要書類についてご説明しました。「難しい」「大変そう」と思われたかもしれませんが、しっかりと指示を聞いて準備しておけば大丈夫です。わからないことがあればすぐに採用担当者に問い合わせて、放置することがないようにしましょう。




